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恐るべし、たけしさんの演出力

 日本では猫をキャラクターとした縁起物に「招き猫」があります。商売繁盛など幸運を招くグッズとして人気がありますが、我が家には、今もビートたけしさんキャラの招き猫がいます。ということで、今回はたけしさんのお話です。

 前回は“脱いだ映画”をご紹介しましたが、今回は“実は脱いでいなかった映画”の話です。それは、たけしさんが「北野武」として撮られた監督デビュー作「その男、凶暴につき」(1989年)。後に“世界のキタノ”と称されることになる監督の原点です。

 たけしさんとは82年に「刑事ヨロシク」という連続ドラマで、83年には「昭和四十六年 大久保清の犯罪」という単発の長編ドラマで共演。いずれもTBS系で、「刑事ヨロシク」ではたけしさんの下宿先の娘役として家族のように一緒に過ごしていました。そんな経緯もあって初監督作でオファーをいただいたのだと思います。

 当時23歳の私は、たけしさん演じる刑事の妹役。台本を読む限り、とても悲惨な設定で、もちろん脱ぐ場面も描かれていました。覚悟を決めて準備をし、バスローブを着て楽屋で待ちます。ところがなかなか撮影が始まりません。北野監督はその日にならないと、何を撮るか全く分からない演出法です。台本もその場で変わります。

 そこで、脱ぐのであれば、下着は前もって脱いでいた方がいいのか、下着の線はあった方がいいのか、どうしましょう?と、私から助監督さんを通じて北野監督に伝えますと、監督はびっくりされたそうです。「そんなふうに考えて待っていたとは思わなかった。じゃあ、脱ぐのやめましょう」と、その時に判断されたんです。

 「えっ…」と、今度は私がびっくりしました。倉庫で何人もの男に乱暴される場面でしたが、真っ白い服を着たままのそのシーンの悲惨さに、ほとんどの方が「脱いでましたね」と、おっしゃいますが実は一切脱いでいないのです。恐るべし、たけし監督の演出力ですよね。

 たけしさんは人見知りな方で、なかなか視線を合わせてくれません。そのあたりは一緒に仕事させていただいた志村けんさんと似ています。次回は志村さんの笑いについて、私なりに勉強させていただいたことをご披露したいと思います。

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