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銭形平次の挿入歌、器用すぎて良かった

 「寛子ちゃんはディレクター泣かせだね!」

 「ほほえみ」でデビューしてから、5曲目の「日暮れどき」を出すまでの1年間。アイドルとしては、グラビアやコマーシャルがドンドン決まり、事務所サイドとしては、文句無しのポジションを獲得。でも、レコード会社としては、いま一つ、新曲の伸び悩みに気をもんでいたようだ。

 自分の中では、歌手歌手一本で仕事をしている認識が薄く、オールマイティーに仕事をこなしている気持ちが強かった。当時は、3カ月に一度のペースでの新曲リリースが当たり前。出しても、出しても思うようなヒットが出ないアイドル林寛子を、これから、どの路線にするべきか、頭を抱えていたのだろう。

 「寛子ちゃんは器用すぎるんだよ。ポップスでも演歌でも、どんな歌でも難なくこなす。これしか唄(うた)えないっていう方が決めやすいんだけどねぇ」。私としては、与えられた歌を一生懸命唄うしかない!そんな私に、迷ってる方向性をぶつけられても、どうすることもできなかった。

 「日暮れどき」のB面に「夕月白く」という歌がある。この曲は、ドラマ「銭形平次」のレギュラーが決まったときに、挿入歌として採用された。レコーディングのときは、この路線で大丈夫なのか、自分でも不安だったけれど、「銭形平次」のプロデューサーさんから、「この歌は、あなたの役の居酒屋ひょうたんの看板娘のおちよちゃんにぴったりだから、劇中で、唄いながらお芝居をするシーンを作りますよ」

 願ってもない仕事のオファー!歌手としても役者としても認められ、大抜てきを受けたうれしい出来事だった。

 そして、器用すぎて良かったと、私の心は喜びに弾んだ。「銭形平次」の挿入歌は前代未聞。異例とも言える大チャンスだ。1年間売れなかったことが、担当ディレクターも、レコード会社も、皆が報われた瞬間だった。

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