奈緒、吉岡里帆とのW主演映画で新境地 多面的な顔を持つ難役へ新たなアプローチ実現

 俳優・奈緒(31)が、吉岡里帆(33)とのW主演映画「シャドウワーク」(25日公開)で勇敢な刑事の顔と、夫の暴力におびえる多面的な顔を持つ主人公・薫役を務める。DVを題材にした作品で「二つ以上のいろんな薫さんがいて、揺れ続けていた感覚で演じていた」という難役。試行錯誤の中で受けた、吉野竜平監督の“金言”を明かし、役者人生の“これから”を語った。

 映画、ドラマ、舞台とさまざまな役柄をこなしてきたが、今作では、これまでにないアプローチで役作りへと挑んだ。

 主人公・薫は夫の暴力に苦しみながらも、世の中の不正に果敢に立ち向かう刑事役。「監督からクランクインする前にずっと、(心が)揺れ続けていてほしいという演出がありました。正義を持っている薫さんと、その裏で大きな影を宿している薫さんと」と振り返った。

 演出部からは薫を演じる上での参考資料をもらい、何度も見返した。「自分で準備することがないくらい、事前にヒントをいただけた」という虎の巻。その上で、影のある薫にふさわしい役を演じるにあたり、吉野監督からの決定的な一言があったという。

 「吉野さんからは『疲れていてください』という一言がありました。いつもは疲れをリセットして撮影に臨むのですけど、今回は特別、疲れを取らないで撮影するのが、すごく新しい試みでした。疲れている姿が今回はベストだったのかなと」。

 吉野監督と組むのは2021年公開の映画「君は永遠にそいつらより若い」以来。自身を知り得る人物だからこその斬新な金言で「すごくいい形で薫さんに向き合えました」と感謝する。

 クライマックスの格闘シーンも見どころ。リハーサルは丸1日をかけ、演出部を含め大きな円を作り議論した。「思いっきり1日を使って、試しました」。今作ならではの演じ方ができたと胸を張った。

 昨年、東京ドラマアウォード主演女優賞、今年は出演舞台「大地の子」が菊田一夫演劇賞受賞と、年々、俳優としての存在感が高まっている。キャリアを重ねていく中で、俳優として高めていくためにも未経験なことに積極的に接している。

 「生きている生活の軸だったり、コミュニティーに出ていくことを積極的に心がけています。自分が知らないものに触れたり、文化に触れたりすると自分のこともより深く知ることができますよね。仕事以外のところで違うものに触れるっていうことを意識して過ごしてます」。

 今年、言葉通りの貴重な体験ができた。「この間、モンゴルに行ったんです。そこで道路を動物が横切って止まっていたんです。東京だったらニュースになってますよね」と笑う。広大な自然、豊かな大地で「何が普遍的かは環境によって変わる」と衝撃を受け、感性がより磨かれたという。

 俳優としての理想を聞くと「一回、仕事をした方にもう一回、一緒に作品を作りたいって言われるようになりたい」と答えた。そこにはこれまで、作品をともにした監督、スタッフへのリスペクトがあふれていた。これこそが奈緒の魅力だ。

 ◆奈緒(なお)1995年2月10日生まれ、福岡県出身。20歳で上京し2013年に「めんたいぴりり」で俳優デビュー。18年にNHK連続テレビ小説「半分、青い。」に出演し、ヒロインの親友役で注目を集める。19年に「ハルカの陶」で映画初主演。25年「東京ドラマアウォード2025」主演女優賞。26年に映画「死ねばいいのに」で主演。特技は手話、乗馬。

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