【ヤマヒロのぴかッと金曜日】あなたは大丈夫?実はあぶない鶏肉の食中毒

山本浩之アナウンサー
焼き鳥
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 盛りを過ぎたとはいえ、まだまだ蒸し暑い日が続く。ぶり返した猛暑に身体がついていかないという人も多いのでは?地震に見舞われた熊本や台風による大雨の被害を受けた千葉では、住まいが使えない、水が使えない人がたくさんいる。それを思えば普通に生活できるだけマシではあるが、こんな時は衛生面とりわけ食品の管理には気を使うものである。

 今週、火曜日の朝日新聞朝刊に『鶏肉料理「十分加熱を」食中毒 後絶たず』の見出しが…。鶏肉を食べたことが原因で車イス生活を続ける60代男性の写真と記事が掲載されていた。

 3年前の12月、焼き鳥屋でさっと湯通しした鶏肉をわさび醤油で食べたのち1週間ほど下痢に悩まされ、その後自宅で左手に違和感を覚え3時間ほど経つと足も動かしづらくなった。数日後には呼吸ができなくなり集中治療室(ICU)で約5カ月間も天井と時計の針を見つめる生活が続いたという。

 まれにみられるカンピロバクター食中毒からのギランバレー症候群。筋肉を動かす末梢神経に障害が起きて手足などが動かなくなる病気である。整形外科の開業医だったこの男性は診療所をたたみ、家族やヘルパーに介助されながらの生活を続けている。十分に加熱していない鶏肉を食べた代償はあまりにも大きかった。

 美味いものには毒がある。フグの毒テトロドトキシン。じゃがいもの芽や緑色の表皮に含まれるソラニン。素人では見分けがつかない毒キノコは日本に200種類以上もある。そうした以前から誰もが警戒する食物に比べると『鶏肉』に注意を払う人はまだまだ少ないのではないだろうか。

 朝日の記事を読んで25年前の忌まわしい出来事を思い出した。家族で外食に出かけた際、馴染みの店で出された「鶏のたたき」を食べた当時小学6年生の長男はその後激しい下痢と嘔吐、高熱に数日間苦しんだ。

 ずっと介抱にあたっていた妻は、トイレに行く力もなく布団の上で吐き続ける息子の姿を今も思い出すという。その後も食べられない日が続き、なんとか卒業式に出席できた息子の姿はガリガリに痩せ細っていた。「取り返しのつかないことをしてしまった」と、妻はそれ以来生肉を口にしていない。厚生労働省によるとカンピロバクター食中毒は年間200件前後にのぼる。

 今回あらためて複数の料理人に聞いてみた。『絶対にダメです。生肝もダメ』『新鮮さをウリにして提供している店があるが、新鮮なほどカンピロバクターも元気だから食中毒になりやすい』と皆一様に口を揃える。「O-157」や「O-111」など多くの死者を出した後、ユッケや生レバーなどが法律で禁じられた牛肉とは違い、鶏肉カンピロバクターには法規制はない。

 一方で、古くから鶏肉を生で食べる文化・習慣がある宮崎や鹿児島では「生食用」を扱う際の厳格な衛生基準を独自にもうけたり、注意喚起をするなど、啓発活動に取り組んでいる。そうした努力に報いるためにも全国一律のルールを定め、すべての飲食店に自覚と責任を義務付けるべきだ。食べる側の自己責任で片付けていい話ではない。

 ◆山本浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。

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