夏のコロナ、侮るべからず 熱中症をダブルで罹患して重症化する人が増加 現状と対策は
年々夏の暑さの厳しさが増し、今年も酷暑が予想されている。「夏バテ」による体調不調や「熱中症」への対策が、さまざまな形で呼びかけられているが、実は「手足口病」「咽頭結膜熱(プール熱)」など夏特有の感染症への注意も必要だ。ほかにも「新型コロナウイルス感染症」は夏に流行しやすいと言われ、基礎疾患を持つ人や高齢者は重症化のリスクは高く、死亡数はインフルエンザの約3倍という。インフルエンザと同じ「5類感染症」に分類されたことで世の中の危機感が薄れているが、怖い病気であることに変わりない。そんな現状や対策を、埼玉医科大学の関雅文先生が解説した。
◇ ◇
ここ数年の夏の医療現場について、関雅文先生は「やはり熱中症にかかる人が多いですが、新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)と熱中症をダブルで罹患(りかん)し、重症化している人が増えています。発熱患者を20人ほど診察すると、必ず1~2人はコロナの患者。熱中症、夏風邪と思い込まず、コロナの可能性があることも認識しておくべきです」と説いた。
以前ほどの大流行もなく「5類感染症」に分類されたことで「風邪と変わらない」など、「コロナ」に対する世の中の警戒感は薄れている。だが、実はこのように、まだ身近に潜む怖い病気であることに変わりない。さらに「コロナ」は、夏に感染が広がりやすく「これからの時期は注意が必要」と、関先生は警鐘を鳴らす。
「インフルエンザは乾燥を好み、冬に流行しやすい。一方でコロナは通年性で、冬にインフルエンザが流行するので、ウイルス株的には夏に流行しやすい。多くの人が寒い冬はマスクを着けますが暑い夏は外しがちです。このように、夏に流行しやすい条件がそろっており、夏の方が危険なのです」
コロナに関しては、研究が進みウイルスの実態や流行の傾向が解明され、またワクチンや医薬品が開発されており、治療や予防に関しては大きく進化している。だが、依然として多くの重症者や死者が発生しているという。
「コロナとインフルエンザを比較しても、昨年の統計では、感染者数はインフルエンザがコロナの約10倍ですが、罹患して命を落とされた方は、一昨年はコロナがインフルの約10倍(インフルが2~3000人でコロナが約3万5000人)です。また、昨年から今年にかけてインフルが流行しましたが、昨年インフルで亡くなられた方は約6800人。対して、ピーク時よりも大幅に感染者数が減少し、意識されなくなったコロナは約2万1000人。死者数は圧倒的にコロナが多いです」
研究が進み治療法が確立された現状でも、とても怖い病気であることには変わりない。
その怖さの原因は、ウイルスの特性に起因する。「コロナのウイルスは、鼻にある毛細血管から入り込み、血管内皮細胞の『ACE2』という分子に感染する『血管ウイルス』と言われています。血液を通じて体内を回り、全身の血管をボロボロにし脳や心臓、腎臓などにダメージを与えるのです。ですので、意外にも脳梗塞や心筋梗塞で搬送された人が、コロナに感染していたケースもあるのです。血管系の病気を誘発するからこそ、高血圧や腎臓病、心臓病、糖尿病など基礎疾患を持つ人や、またこのACE2が年齢を重ねるにつれ多くなり、ウイルスが体内に入り込みやすいため、高齢者に重症化や死亡例が多いのです」
感染力は強いだけに、このような基礎疾患を持つ人や高齢者はもちろん、流行させないために周囲の人も一緒に対策に取り組むことが必要だ。特に酷暑で夏バテなど体力が落ちるこれからの時期は、予防が大切になってくる。
「まずはワクチンを打つことが非常に重要です」
ワクチンに関しては、心筋梗塞や心筋症など副反応を心配する声もある。だが「厚生労働省による副反応のデータでは、心筋症はこの2年間ゼロです。副反応の頻度も10万人に1~2人です」という。
「ワクチンも研究が進み、重症化どころか発症そのものを抑える効果の高い『mRNAワクチン』もあります。副反応も、熱が出にくい、痛みが少ないなど、出ないように改良もされています」
ワクチン以外でも、日ごろの心がけが重要だ。「マスク着用や手洗いを徹底することはもちろん、なにより元の体力が大切。夏バテにならないための、スタミナがつくものを食べることに加え、免疫を整えるためにヨーグルトなど乳酸菌を含むものを摂取することもおすすめします」
まだまだリスクが大きなコロナ。夏本番前の今から十分な対策の取り組んでいくことが大事だ。
