カンヌ国際映画祭最優秀女優賞 岡本多緒凱旋「まったく現実味が湧いていません」 映画「急に具合が悪くなる」で快挙から2日
濱口竜介監督の映画「急に具合が悪くなる」(6月19日公開)で第79回カンヌ国際映画祭の最優秀女優賞を受賞した岡本多緒(41)とヴィルジニー・エフィラ(49)が26日、都内の日本記者クラブで凱旋会見を行った。日本人として初めて同賞を受賞した岡本は「2日たったけど、まったく現実味が湧いていません」と率直に吐露。濱口監督は2人の相互作用によって、役の感情が高まっていった様を回想し「撮影中も感動していたし、編集中も泣いてしまった。それが世界の監督に届いたのはとてもうれしい」と喜んだ。
176センチの長身にシックなドレスをまとった岡本は、たくさんのフラッシュに迎えられ、はにかんだ。日本時間24日未明の快挙からわずか2日。心境を問われると「日本人初だと知らなかった。毛頭にもなかったし、その意味やプレッシャーは感じられてないです。現実味がないですが、みなさんが喜んでくれていることに感激している感じです」と表情を崩した。
映画の原作は、哲学者の宮野真生子氏と人類学者の磯野真穂氏が病や命について交わした往復書簡を収めた共著。舞台をフランスに置き換え、パリ郊外の介護施設のディレクター(エフィラ)と、がんを患う演出家(岡本)の交流を描く。
全体の9割がフランスでの撮影でスタッフもほぼ現地のチーム。フランス語のセリフも多く、濱口監督は「外国語で演出することには大きな不安があった」と明かし、続けた。「(役者の)声の状態を聞くことで集中や緊張を感じる。シンプルなところに帰ればいいのかなと思いました。今、自分が面白いと感じるのは、声の深みのようなものです」。「声」に耳を澄ませるのがテーマだったという。
演出を受けた岡本は「カメラが回った瞬間、(監督が)見ているし、聞いているのがジュージュー、体で感じられるのがユニークだと感じました。いろいろバレちゃうので、緊張感が良い意味で抜けない現場でした」と振り返った。
濱口監督は、モデル・TAOとして世界的に活躍しつつ、ハリウッド作品に出演していた岡本の起用について「非常に凜とした姿が印象的。なのに会ってみたら驚くほど柔らかく、ある種、赤ん坊のようなかわいらしさがある。その二つが魅力的だなと思いました」と説明。病によって死と向き合う役柄を演じる中で「声がだんだん深まっていく。声の中に人間性が宿っていると感じていて、『あぁ、こういう領域があるんだ』と新しい発見があったような気がします」と絶賛していた。
撮影の中で2人が「感情を与え合うような関係」になっていたとし、相互作用を強調。「俳優たちが本当に何かを感じ合っていれば、カメラに記録されると思っている。結果的にそれが映ったような気がしています」とうなずいていた。
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ベルギー出身で「フランスのアカデミー賞」と称されるセザール賞最優秀女優賞の受賞者でもあるエフィラは会見冒頭、日本語で「日本に来ることができてとてもうれしいです」とあいさつ。感情を入れずに台本を読む「本読み」など濱口流の演出法について「もともとの目的は映画が出来上がることだけど、それを超えて、生きるための準備をしているような経験になりました」と振り返った。役作りのための資料を渡されることも多かったといい「物語や人物像の内部、深みに入り込み、神秘的な領域を感じることもありました」と回想していた。
