【ヤマヒロのぴかッと金曜日】寄り添えるのはAIか人間か!?若者よ、あなたの近くにこんなオッサンもいる…と信じたい!!

 最近、ちょっと気になる出来事があった。

 今週月曜日(4月27日)、京阪沿線のとある駅に隣接するショッピングモールで買い物をしていると、若い男性が一人で通路のベンチに腰かけていた。20代前半、濃紺のスーツにブルーのストライプのネクタイ姿。就職活動中の学生か、いや何も荷物を持っていないところを見ると、仕事場を抜け出してきた新入社員かもしれない。

 ペットボトルを手に体をかがめ、力のない目でボーッと一点を見つめている。しばらくモール内をウロチョロした後、一つ上の階から覗き込むとまだ同じ場所で姿勢を変えずにじっと座ったままだ。仕事がキツくてただ身体を休ませているだけなら汗を拭ったりしそうなものだが、そんな素振りも見せない。

 よっぽど何か思い詰めることでもあるのか、それは仕事上の人間関係か、それとも好きな女から別れ話を持ち出されたか…。気になったのでよっぽど声をかけようかと考えていたのだが、妻から連絡が入ったのでその場を後にした。

 こんなとき、ご同輩の皆さんならどうされるのだろう。思いきって声をかけるなりするのだろうか?

 私が社会に出た40年ほど前は、終身雇用が当たり前の時代だったから入社してすぐに辞めるやつはごく稀だったし、悩みごとがあれば気軽に先輩や上司に相談していた。仕事以外の悩みなら、今も通い続けるバーのマスターや創作料理の店のご主人に聞いてもらった。いつもそれなりに『居場所』があったのですぐに気持ちを立て直すことができたのだが……。

 あの青年は大丈夫かと気に病んでいたら、若いスタッフがポツリと「今はAIに相談して問題を解決しますからね~」。イヤイヤ、何でもかんでもAI、AIって!! 

 そりゃ、AIが機械学習能力や作業効率化に活用されてるのは知ってますよ。だけど、心の奥底に潜んでいる悩みごとまでは理解できないだろうと思い、調べてみたら、人間のような自然な対話で自動応答してくれる『悩みに寄り添うAIチャットボット』なるものが実用化、一部自治体の相談窓口でも導入された。家庭用でも、悩み相談や励ましの言葉をかけるものから、日常のメンタルケアをサポートするパートナーAIアプリまで……時代はここまで進化しているのか。

 それなら、見知らぬオッサンが「なんか悩みごとでもあるの?大丈夫?」などと声掛けしなくて正解だったのかもしれない。が、さらに調べてみると、チャットボットが相談者に過度に同意する“迎合性”が見られ、結果として相談者を自己中心的に導く危険性があることもわかった。

 「いいよ、いいよ、大丈夫!何も間違ってないよ~」てな具合に。海外では、AIへの相談がもたらす深刻なリスクが訴訟などによって明らかになっていたのだ。とすれば、今はまだ本当に相談する相手は「人間」のほうが無難だと思う。

 私には三人の息子がいる。あの日の彼よりずっと年長なので、今では多少なりともストレスの吐き出し方を身につけてはいるだろうが、社会人に成り立ての頃はどなたかのお世話になったかもしれない。

 街で見かけた見知らぬ青年に懐深く入り込むことはできないが、せめて周囲にいる若者には「最近元気無いな。ちょっと一杯行こか…」と、気になるときは多少煙たがられても声をかけ続けたい。

 ◆山本浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。

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