吉行和子さん 死去10日前まで病室で仕事 突然の体調悪化 「愛の亡霊」「金八先生」などで名演
舞台や映画、テレビなど数多くの作品に出演し、エッセイストとしても活躍した俳優の吉行和子(よしゆき・かずこ)さんが、2日午前0時19分、肺炎のため都内の病院で死去していたことが9日、分かった。90歳。東京都出身。葬儀は近親者で行った。吉行さんは芸術一家に生まれ、19歳で俳優デビュー。自立した女性から母親役、妖艶な悪女まで幅広い役柄をこなし、広くお茶の間で親しまれた。
明るく穏やかな笑顔に卓越した演技力、さらにちゃめっ気たっぷりのトークでお茶の間を魅了し続けた吉行さんが突然、この世に別れを告げた。
所属事務所の関係者によると、吉行さんは夏ごろ、持病が悪化したことで「一応、入院しておこうか」と、都内の病院に入院。最期は病室で、近親者に見守られながら安らかに旅立ったという。
亡くなる10日前まで病室で仕事をしており、突然の体調悪化だった。最後の仕事は、東京・銀座のタウン誌「銀座百点」で、親友でもある俳優・冨士真奈美と行っている往復書簡の原稿。最終稿は病室でしたためていたという。
今回入院するまでは体調に大きな不安もなく、今年2月には来年公開予定の映画「あなたの息子ひき出します!」の撮影にも参加していた。さらに、来年2月公開の「金子文子 何が私をこうさせたか」にも出演。昨年製作され、すでに海外では公開されている「DIAMONDS IN THE SAND」にも出演するなど、精力的に活動していた。
吉行さんは、詩人で作家の吉行エイスケ氏と、NHK連続テレビ小説「あぐり」のモデルにもなった美容師の吉行あぐりさんの間に生まれ、兄は作家の吉行淳之介氏、妹は詩人の吉行理恵氏という文学一家。東京の名門・女子学院高を卒業後、劇団民芸に入り、1957年に舞台「アンネの日記」で主役を務めた。
59年に映画「にあんちゃん」で毎日映画コンクール女優助演賞を受賞した。78年には大島渚監督が手がけた「愛の亡霊」に主演し、体当たりの演技が話題に。2014年「東京家族」で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を獲得した。テレビドラマにもTBS系「3年B組金八先生」や「ふぞろいの林檎たち」など数多く出演。母親役や祖母役が多く、優しく周囲を包み込む独特の存在感が光った。
・武田鉄矢(金八シリーズで共演)「若い時に本当にかわいがってもらったベテランの女優さんで、ほめてもらうとうれしかったですね。熱演すると『上手ね』って、のんびりおっしゃる。大好きな先輩でした」(フジ系「サン!シャイン」でコメント)
本当に寂しい
・観月ありさ「ドラマ『ナースのお仕事』でご一緒させていただいて以来、ありちゃんと呼んでいただき、本当に温かくかわいがっていただきました。いつも朗らかで優しい吉行さんに癒され、現場ではいろいろなお話を伺えたことが、今も鮮明に思い出されます。 ドラマ「執事 西園寺の名推理2」でも久しぶりにご一緒できたのは、私にとってかけがえのない時間でした。あれが最後の共演となってしまったことを思うと、本当に寂しい気持ちでいっぱいです。 吉行さんのように人を癒し、温かい気持ちにさせられる俳優を目指して、これからも努力していきたいと思います」
◇吉行 和子(よしゆき・かずこ)1935年8月9日、東京都生まれ。高校卒業後に入団した劇団民芸の舞台「アンネの日記」で注目を集め、今村昌平監督の映画「にあんちゃん」、唐十郎さん作の舞台「少女仮面」に出演。以降、大島渚監督の映画「愛の亡霊」、映画「佐賀のがばいばあちゃん」、ドラマ「3年B組金八先生」など。父は詩人の吉行エイスケ氏。母は美容家あぐりさん。兄は作家の淳之介。妹は詩人の理恵。エッセイストとしても活躍した。
