休みは1年に1回「『私“南野陽子物語”の主役なんだ』って精神で乗り切りました」 「スケバン刑事」などで大人気!85年デビュー“黄金世代”

 1980年代のブームを担い、今も活躍しているアイドルに当時の思い出と現在の活動を聞く連載企画「今も輝いて アイドル伝説」。第2回は今年デビュー40周年を迎え、俳優、歌手、大学教授など幅広い活躍を続ける南野陽子(57)が登場します。伝説のドラマシリーズ「スケバン刑事」の2代目・麻宮サキ役で大ブレークし、映画「はいからさんが通る」でも主演。同作の主題歌や「吐息でネット」など数々のヒット曲を世に送り出したスーパーアイドルが、激動の40年を振り返ります。

 昭和のアイドル全盛期に華々しくデビューした南野。「当時のアイドルって今と違って、例えば(山口)百恵さんが21歳で結婚されて、(松田)聖子さんが24歳、石野真子さんは20歳で…って、そういうものだったんですよ」と世相を語り、「私も18歳デビューで、5年間は駆け抜けようっていう思いでした。23歳でプロポーズされた人と結婚して…とか」とジョーク交じりに話した。

 デビューした1985年は、斉藤由貴、浅香唯、おニャン子クラブらビッグネームを次々と輩出し、“黄金世代”と称された。多くのライバルに囲まれ、さぞピリピリした激しい争いを繰り広げてきたのかと思いきや、「ピリピリ感は…、みんな言うけど、本当になかったんですよ。一緒にいる仲間っていうか、ドキドキ感とか、うれしさはあったんですけど、ピリピリはなかったです」とあっけらかんと話した。

 当時は歌番組が多く、同年代のアイドルとは毎日のようにスタジオで顔を合わせていた。だが「どっちかと言うと、近くにいるのにしゃべれないんですよ。生放送でも、メイクさん、スタイリストさん、レコード会社の方…って周りにたくさんいらっしゃるから、本番中しかしゃべる機会がないんです。でも本番は他人の曲を聞いてますから、本当に一言二言しかしゃべれなくて。あと、昔は歌番組がランキング式だったから、リリースの時期がちょっとでもずれると会わないんですよ。だから私も、キョンキョンさんとか、意外と会ってない」という。

 「仲良くもできなかったけど、私はやっぱり皆リスペクトしてました。しんどい時間の中でもにこやかに、新しい作品を覚えたり、撮影してたりとかして…」と“盟友”との時代を懐かしんだ南野。一方で昨年12月には、同期の1人だった中山美穂さんが急逝。突然の別れを経験した。「悔しいですよね。一番無念っていうか、驚いてるだろうし、悔しいのは美穂ちゃん自身だと思うんですけど」と悲痛な表情を浮かべ、「どれだけいい作品をたくさん残していても、『早すぎるんじゃないの?まだやることあるでしょ?』とは思います。ずっと会えてはいませんでしたけど、やはり同じ時期に過ごした者として、お互いにしかわからない感覚もあったかなとは思う」とつぶやいた。

 さらに「岡田有希子ちゃんにしても、本田美奈子.ちゃんにしても…」と、早世したアイドル仲間の名を挙げ、「皆さん、生き方がちょっと違うんですけど、私は私なりに…。それを言葉として皆さんに言うかは別として、ちゃんとその人たちからの、いろいろ教えがあるというか。『じゃあ私は、もうちょっと頑張らなきゃいけない』って思っています」と言葉に力を込めた。

 デビューから2年ほど、20~21歳には、殺人的なスケジュールも経験した。「休みはね、1年に1回。それも雪の日で、臨時にとかいう感じで」と告白。それに耐えられた理由を「時代ですよね。当時“スポ根”じゃないけど、ヒロインはだいたい困ってるものですから、『私“南野陽子物語”の主役なんだ』っていう精神で乗り切りました」としつつ、「みんな、寝てないとか疲れるとかで、逃げ出したい気持ちはどこかに起こると思う。そういう時は日記に書くとか、同級生に電話で愚痴るとか、人に見せない“引き出し”みたいなところに、必死にしまっていたような気がします」と穏やかに笑った。

 紆余(うよ)曲折を経て迎えた40周年。自らを「よくやらせてもらえてますよね~。『そろそろ本気出せよ!』って。ずっと本気は出してるんですけど」としつつ、「自分なりに決めたルールの中で、うそはついてきてない」と表現。「そういう意味では『よそ行きの自然体』を心がけてます。家での自然体は見せちゃいけないけど、できる限り正直にいたい」と誓う。

 「元アイドルではなくて、今もアイドル。理想はね。私を知ってもらって、応援しようとか、好きだって言ってくれていた頃の私でいたいなとは思います。ほとんど忘れてますけど」と南野。今年は7月27日の東京・NHKホールを皮切りに、8公演の40周年記念ツアーが控える。「昔を知ってる人は、あなた自身も10代、20代のあなたとしてやって来てほしい。私も、音楽も、衣装も、感情も、当時のものでいけたらと思っています」と、格別のアイドルスマイルを浮かべた。

  ◇  ◇

 デビュー40周年を記念した3枚組のアナログレコード「Yoko Minamino 40th Anniversary Records」が、7月23日に発売される。デビュー曲「話しかけたかった」や、映画「スケバン刑事」の主題歌で、シングル8作連続1位記録の1作目となった「楽園のDoor」、大ヒット曲「はいからさんが通る」「秋からも、そばにいて」「吐息でネット」などの全シングル曲に加え、20周年曲「最終オーダー」、日本カンボジア友好70周年のテーマソング「明日への虹」、京都府舞鶴市のイメージソング「飛揚-HIYOH~再会の似合うまち舞鶴~」など、全31曲を収録した完全生産限定版。南野の歌手生活のすべてが込められた作品だ。

 ◆南野陽子(みなみの・ようこ)1967年6月23日生まれ、兵庫県伊丹市出身。85年にフジテレビ系ドラマ「スケバン刑事2」の主役を演じ大ブレーク。同年「恥ずかしすぎて」で歌手デビューし、87~88年に「はいからさんが通る」「吐息でネット」などでオリコンシングルチャート8作連続1位を記録。映画「寒椿」(92年)「私を抱いてそしてキスして」(同)で日本アカデミー優秀主演女優賞。今年から神戸松蔭大客員教授に就任。愛称は「ナンノ」。

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