プロ野球・巨人で選手、監督として活躍し、球界の枠を超越した戦後最大のスーパースターだった長嶋茂雄さんが３日午前６時３９分、肺炎のため都内の病院で死去した。８９歳。千葉県出身。芸能界とも華やかな交友関係を持っていた国民的ヒーローを、タレントで映画監督のビートたけし（７８）、歌手の北島三郎（８８）ら、多くの芸能人が追悼した。

　たけしは公式サイトで「いずれこの日が来るとは覚悟していたが、実際にそうなってみると気が抜けた感じがしてしょうがない」と大きな喪失感を打ち明け、「本当にショックだ」と吐露した。

　たけしにとって長嶋さんネタは鉄板だったが、敬愛の念も人一倍だった。フライデー襲撃事件で仕事がない時期、長嶋さんに誘われてゴルフに行くなど交友もあった。「同じ時代を生きた神のような存在だった。物心ついて野球に目覚めてから数十年、ファンという感情以上のあこがれを持っていたし、その存在をずっと意識し、活躍にいつも励まされる思いだった」と率直に記した。

　同じ１９３６年生まれの北島は２００３年、当時オリックスの谷佳知と柔道の田村亮子との結婚披露宴で、長嶋さんらとともに「まつり」を歌った。試合前に国歌を歌い、監督室で長嶋さんからスタジアムジャンパーを贈られたこともある。

　「歩んできた道は違いますが、同じ世代で同じ時代を頑張って生きてきた。現役時代のミスターの熱く美しいプレー姿は、いまだにまぶたに残っています」と同世代としての思いを述べた。

　落語家の桂文枝（８１）は対談した際に野球ゲームをプレーしたといい、「僕がピッチャー　長嶋さんがバッター　夢の様な対決です。たとえゲームでも長嶋さんは真剣で　何度か打ち損じたあと見事にホームランを打たれ　例のあふれる様な笑顔になられました」とブログで回想した。

　歌手の小柳ルミ子（７２）はデビュー当時に対談した際、「ルミ子ちゃんと同じ色の洋服だね　僕たち気が合うね」と気さくに声をかけられた思い出をブログにつづった。

　正月特番では長嶋さんと組んでたけし、そのまんま東（東国原英夫）組とゴルフ対決。最終ホールで長嶋さんが「ルミ子ちゃん　これ入れるから僕たちが優勝だよ」と言って、２０メートル近いロングパットを沈めた。「スターたるゆえんをこの目でしっかりと感じさせていただいた」と振り返り、「昭和の大スターが亡くなりました　灯りが消えた様です」と悼んだ。

　古くから親交があった俳優の北大路欣也（８２）は「人間の輝きと、生かされている喜びと幸せ、私達に力強くその波動を送り続けてくださった」と感謝を述べた。

　◇武田鉄矢「おうちを訪ねると、太陽みたいな笑顔で、扉が開いて甲高い声で『ウェルカムです！』」（フジテレビ系「サン！シャイン」で）

　◇関根勤「戦後の日本を素晴らしいパフォーマンスで盛り上げてくださいました。憧れて長嶋さんのモノマネをさせていただきました。お会いした際は温かくモノマネを認めていただきありがとうございました」（Ｘから）

　◇黒沢年雄「（友人の祝勝会で）長嶋さんが早足に突然来て僕を抱きしめて“黒澤さん大丈夫ですか！心配してたんですよ？！”僕は初めてのガンの手術でマスコミで騒がれていて、退院直後だったのです…その上面識もない僕を心配して見守ってくれていた！僕は感動で涙が止まらず」（ブログから）

　◇中山秀征「監督時代、大変お世話になりました。私の番組で、選手の個性やキャラクターを出すことを大変喜んでくれ、いつもテレビに協力してくださいました。お会いしてもいつも優しく話しかけてくださいました」

　◇荻野目洋子（同郷で８年前に対面）「ライブグッズの青い扇子をプレゼントさせて頂き、長嶋さんは野球ボールに快くサインしてくださいました。偶然にも青いジャケットとピッタリで、すぐに開いて使用してくださった事も大変嬉しかったです。日本中に与えてくれる勇気の源は、こうした優しさなのだと感じました」（Ｘから）

　◇菊川怜「始球式をさせていただいた日、ランチをご一緒させていただきました。球の投げ方などアドバイスをいただきました。太陽のように周りを明るくしてくれる温かなそしてチャーミングな方でした」

　◇乙武洋匡氏「スポーツライター時代、バリアフリーではない室内練習場に車椅子なしでスタッフに抱えられて移動する私を見て、『おや、今日はあの“戦力”はどうしたの？』と独特の言い回しで気にかけてくださったこと、今でも忘れません」（Ｘから）

　◇西原廉太氏（母校・立教大総長）「立教大学の池袋キャンパスには『長嶋茂雄氏顕彰モニュメント』を設置しています。長嶋茂雄さんは、立教大学にとって永久不滅のヒーローです」

　◇日本テレビ・福田博之社長「長嶋さんは常に“華”があり、まさに“記憶に残る”存在でした。（９１年の世界陸上で）カール・ルイス選手に『ヘイ、カール！』と呼びかけ、身を乗り出して握手をされたシーンは、お人柄をあらわす名シーンとして多くの視聴者の心に残りました」

　◇小泉進次郎農相「父と長嶋監督時代に観戦したことを思い出します。野球少年にとっては永遠に憧れの人」（Ｘから）