【ヤマヒロのぴかッと金曜日】旧友の説法!PHと親鸞聖人と…

 懐かしい友から番組に便りがあった。それも、遠くオーストラリアのシドニーからである。

 かつて龍谷大学で同じクラスに在籍していた渡部重信君。彼の奥さまが料理を作りながら日本語のラジオ放送を聴いていたので何気に耳を傾けたら懐かしい声の響きが。パーソナリティーは誰なのか聞いてみると「ヤマヒロさん、山本ひろゆきって人だよー。最近ハマってる!」との返事があり、それで私のことを思い出したらしい。私のラジオを気に入って聴いてくれるのだからとても素晴らしい奥さまに違いないが、卒業して40年以上疎遠だったにもかかわらず、よくぞ気がついてくれた渡部くんにも驚くばかり。

 早速、その日の生放送に電話で出演してもらうことになった。渡部くんは大学を卒業後、僧侶となり浄土真宗本願寺派の開教使としてカナダに9年、オーストラリアに25年も住みながら現地で布教活動をしてきた。

 西本願寺オーストラリア開教事務所はオセアニアで唯一の拠点だが、3年前からアソシエーションとして再出発したため、彼自身は現在、病院でのチャプレン(患者・家族・スタッフの精神的、宗教的支援をする人)の仕事を本業としながら、日曜日に集う人々を対象に法話会を行っている。

 また、シドニー日本クラブの代表でもある。50歳を過ぎてから始めたマラソンは今では4時間を切るまでになり、シドニーマラソンで高橋尚子さんと撮ったツーショット写真を見ると、とても同い年には見えないほど若々しく、髪も私よりはるかに多かった。

 昨年1月の能登半島地震で被災した石川県珠洲市のご実家やお墓の整理で一時帰国する予定だと言うので、そのついでに『ヤマヒロのお寺さんSUNモーニング』(MBS、日曜7時)の6月のパートナーとして僧侶としてご出演願うことになり、今週、収録に参加してもらった。

 本編では話す機会はなかったが、前日に2人で食事をした際、私が手渡した名刺をしげしげと見つめ

 「会社名のPHカンパニーとはどう言う意味ですか?」

 「PHは、ポジティブ・ハゲの略です…」

 ひとしきり笑いが起きた後、真面目な顔つきに戻り

 「それは親鸞に通じるものですね」

 「…!?」

 ポカンとする私に、渡部君は穏やかな口調で解説してくれた。

 『浄土真宗の開祖、親鸞は「愚禿釈(ぐとくしゃく)親鸞」という名乗りのもとにその生涯を生き抜いた。人は皆、自らの内面にはさまざまな問題を抱えていながら、それを無視したり外見でごまかして、周りの人に気づかれないよううわべでは問題がないかのように振る舞い、自分ではない自分を演じて生きていこうとする。親鸞の「愚禿」という名乗りには、自らに真正面に向き合い、自らを偽らずに生きていこうとする親鸞自身の決意が込められたものなのです。ですから、親鸞が自分のことを「愚かな禿げ」=愚禿、と名乗っていたのと思いが通じる所があるのです』

 あらまあ、こそばゆい限りだ。そんな風に言われると「そうか、オレは親鸞と一緒かぁ!」と言ってしまうところがこれまた恥ずかしい。まあ、いいか。せっかくいい話が聞けたのだから煩悩にまみれながら、これからも生きていこう!渡部君、ありがとう。どうか、お元気で。(元関西テレビアナウンサー)

 ◇山本 浩之 (やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。

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