【ヤマヒロのぴかッと金曜日】オンラインカジノについて考えてみた
吉本興業の芸人による違法オンラインカジノの利用が発覚し、大きな社会問題となっている。
その中の一人、「令和ロマン」の高比良くるまさんは当面の間、芸能活動の休止を発表した。知らなかったとはいえ、違法なことに手を染めたことは事実であり、公人としての影響の大きさを考えると活動休止は妥当といえる。正直に全てを話した上での自粛と信じるので、やがて復帰したら私は引き続き応援する。
オンラインカジノを興味本位で試した者は数多くいるようだ。水原一平事件でその恐ろしさは明るみとなったが、額の大きさと、大谷翔平選手のお金を盗んでいたことのほうに関心の多くが集まった。
水原被告のような『ギャンブル依存』は日本国内でも以前から指摘されていた。実態を聞くと恐ろしい。スマホを持っていれば、誰でも初めは無料で参加でき、ソファに寝そべって指で操作すればあっという間に勝ち負けが決まる。負けが込んだら取り返そうと、次の日もゴロゴロしながら賭けていく。気がつけば莫大(ばくだい)な借金だけが残る。
合法か違法か正しく理解していなかったのを批判するのは簡単だが、私に言わせれば、こんな危険なものを野放しにしていることの方が問題であり、国の周知徹底が足りなかったからと言われても仕方ないだろう。
だから一罰百戒のごとく、今回の件が『みせしめ』のように映ってしまうのだ。このニュースを伝える幾つかの番組の画面に「日本でのオンラインカジノ利用は賭博罪にあたる違法行為です」というクレジットをわざわざ入れていたのは、それくらい知らない人が多かったということの裏返しではないか。
気軽にカジノを楽しめるのはオンラインだけではない。2030年秋には、大阪府内に国内初のカジノが誕生する予定で、困ったことに日本人も利用することができる。
私は以前から大反対の立場である。『ホテルや国際会議場も備えた統合型リゾート施設』といえばずいぶん聞こえはいいが、何のことはない『賭場』です!自分の小遣いの範囲内で楽しむ分には『適度なギャンブル』であり無害と言われるが、必ずギャンブル依存症に陥る者が出てくる。一度その沼にハマると抜け出すのは容易でない。薬物依存なら周囲に気づかれることも多いが、ギャンブル依存は周りに気付かれず、負けを取り返そうとしてやがて全財産を失うこともある。
韓国国内で唯一、韓国人が利用できる「江原カジノランド」で家、車、高級時計、全てを失い家族が去ってしまった男性の実態を番組で取り上げたことがあった。その韓国でも何年も前からオンラインカジノにハマってしまった若者のことが社会問題化している。ギャンブルという英語の和訳は『賭博』。オンラインであろうが、対面であろうが根っこは同じである。合法であっても危うさに変わりはない。(元関西テレビアナウンサー)
◇山本浩之(やまもと・ひろゆき) 1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。
