43歳男が屋根裏から女性盗撮?それでも逮捕容疑が「建造物損壊」だった理由 小川泰平氏が解説

 埼玉県内のアパート屋根裏に侵入し、仕切りの壁を壊した建造物損壊の疑いで無職・針谷啓太容疑者(43)が逮捕され、26日に送検された。針谷容疑者はこのアパートに住む女子大学生の部屋の天井に開けた穴に小型カメラを設置していた。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は27日、デイリースポーツの取材に対し、今回の逮捕容疑となった理由や防犯対策を解説した。

 針谷容疑者は今年3月、親族が住むアパートの隣室で暮らしている女子大学生の部屋に無施錠の玄関から侵入し、わいせつな行為をした疑いで逮捕・起訴されていたが、その後の捜査によって、部屋の仕切りとなる屋根裏の壁の一部が破壊されていることが判明し、4月に建造物損壊容疑で再逮捕された。

 埼玉県警の調べによると、針谷容疑者は無断で親族の部屋に合い鍵で入り、風呂場の点検口から屋根裏に上って仕切りの壁を破壊。さらに女子大学生が住む部屋の天井に直径2ミリほどの穴を2カ所開け、小型カメラを設置するなどしていたとみられる。また、2メートル以上ある手作りのはしごを使い、女子大学生宅の風呂場を経て部屋にも侵入していたとみられている。

 昨年4月から今年3月まで1年近く、こうした行動は続いており、針谷容疑者は容疑を認めているという。

 屋根裏に忍び込み、天井に開けた穴から住人の様子をのぞく行為を描いた江戸川乱歩の短編小説「屋根裏の散歩者」を連想させる犯行。大正時代の東京を舞台にした同作は1970年代から近年まで何度も映画化されていることもあって知られているが、フィクションの世界だった行動が現実の犯罪となったことから、容疑者の送検が報じられた26日にはツイッターで「屋根裏の散歩者」がトレンドワードになった。だが、現実の世界では許される行為ではない。

 小川氏は「こういった手口はこれまであまり明らかにされてはいませんでしたが、私は現職時代にこの手口を扱ったのは30年以上前になります。昔からある手口です。今はカメラの性能がよくなったので、浸入の手段だけでなく、盗撮をするようになってきています。ただ、残念ながら、日本にはまだ『盗撮罪』がないものですから、今回は苦肉の策で『建造物損壊』という罪で逮捕したということです」と説明した。

 さらに、小川氏は「こういった犯罪はエスカレートしていきます。『のぞき』や『盗撮』だけでは終わらない。今回の容疑者もそうでしたが、最初は『見ているだけ』だったのが、被害者がいない時に部屋に入るようになり、さらには被害者が在宅している時に直接、部屋に入って…というふうにエスカレートするので注意が必要です」と指摘した。

 小川氏は「私も現職中にこの手の犯行を扱ったことがあるが、進入経路がどこにもないのに部屋に入られていたケースでは、浴室の天窓からの侵入だった。風呂場の天窓もしっかり施錠してください。また『変な音がする』ことにも注意です。実際に私が侵入者を捕まえた後、被害者に聞くと『そう言われてみると、何か音がしていた。だが、普通の何か振動のような音かと思った』と話していました」と現場体験から得た教訓を挙げた。

 その上で、小川氏は「屋根裏からの侵入者」に対する防犯対策として、「天井で『何かがはいずるような音、何かがぶつかるような音』など不審な音に気づいたり、外出から帰宅した際に部屋の中の物が移動していたりしていた時は警察に相談してください。気になる場所を自身のスマホで撮っておくことも自己防衛の一つです。警察は屋根裏に異常がないかをチェックしてくれます」と提言した。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス