岸田首相への爆発物、40m先に破片 元刑事「破壊力あった」スマホ撮影のやじ馬へも注意喚起

 岸田文雄首相が衆院和歌山1区補欠選挙応援のため訪れた演説会場で15日、筒状のものが投げ込まれ爆発した。威力業務妨害容疑で兵庫県川西市の木村隆二容疑者(24)が現行犯逮捕された。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は17日、デイリースポーツの取材に対し、筒状の爆発物には「ある程度の破壊力はあった」とし、テロ事件ではやじ馬にならずに現場から離れるよう呼びかけた。

 逮捕容疑は自民党和歌山県連主催の演説会で岸田首相に向けて爆発物を投げ、演説を妨害した疑い。捜査関係者などによると、木村容疑者が持ち込んだ筒状の爆発物は2本で、うち1本が破裂した。残り1本は現場に残っていた。

 岸田首相に向けて投げ込まれた爆発物はSPが蹴って遠ざけ、約52秒後に爆発した。警戒中だった警官が腕を2針縫うけがをしている。現場付近では約40メートル離れた倉庫の壁に爆発物の破片がぶつかったとみられる跡もあった。

 小川氏は、木村容疑者が投げたような爆発物は「パイプ爆弾」として知られており、1960~70年代から存在すると説明。火薬を入れたパイプそのものが破裂するもので、中に釘やパチンコ玉を入れて殺傷能力を高めることもあるという。「今回はそういったものは入ってなかったようです。ただ、破片が40メートル先まで飛んで行っているということは、ある程度破壊力はある、ある程度火薬の量もあったんだろうと。これが岸田首相なり、聴衆の方に当たれば大けがをしていた可能性は十分考えられます」と指摘した。

 テロ事件では、最初に小規模の爆発などを起こし、やじ馬や消防官、警察官が集まってきたところで大きな爆発を起こして被害を大きくしようとすることがある。2013年の米ボストンマラソンの爆破テロでは時間差で2度の爆発が起きており、ほかにも不発だった爆発物も発見されていた。

 木村容疑者は会場にいた漁師が素早く取り押さえた。直後には周囲にスマホで撮影しようとする人の姿もみられた。小川氏は「結果的に単独犯でしたが、筒状のものを投げた時点では1人なのか2人なのか、全然別の場所に仲間がいる可能性もあります。ですから二の矢、三の矢が飛んでくる可能性もあります」と事件発生の時点では状況がわかっていなかったことを指摘。「ついつい好奇心の方が勝ってしまうんでしょうけど、テロとなると、そこに集まってしまったことで大けがをするということになりかねない」と安易にやじ馬になることへの注意を促した。

 小川氏は「もっと制服の警察官を投入すべきだと思います」とコメント。「応援演説をする方、議員の方には制服の警察官がたくさんいることを嫌がる方もいらっしゃるんですが、一般の方、国民の方も理解してくれるのではないか」と目に見える抑止効果の積極的な導入も提案した。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス