さようなら ムツゴロウさん「ゆかいな仲間たち」「動物王国」畑正憲さん死去、87歳

 フジテレビ系「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」など動物との交流を描くテレビ番組に数多く出演し、「ムツゴロウ」の愛称で親しまれた作家の畑正憲(はた・まさのり)さんが5日午後5時53分、心筋梗塞のため北海道中標津町の病院で死去した。87歳。福岡市生まれ。葬儀は親族で行う。喪主は妻純子(じゅんこ)さん。動物のみならず、プロ九段の腕前を誇るマージャンなど多才だった畑さんを、日本プロ麻雀連盟や、各界の著名人も悼んだ。

 畑さんは5日夕に中標津町の自宅で倒れ、病院に搬送された。畑さんの娘と結婚した津山剛さん(61)は「最期は苦しまず家族でみとった」と明かした。

 関係者によれば、2017年に心筋梗塞を発症。自宅からドクターヘリで釧路市内の病院に運ばれて一命をとりとめ、その後は定期的に検査入院していた。20年以降はコロナ禍による減便などで上京もままならず、思うように活動できていなかった。周囲は今年で40年になる銀座での個展に向けて動いていたが、かなわなかった。

 週刊プレイボーイの連載コラムは直近2回を休載。関係者は「体が痛くてもつらくても口にしたことはなかったが、最近は書きたい思いと体が合わず、つらかったのではないか」と推し測る。スポーツが大好きで、先月のWBCは夢中でテレビ観戦していたという。

 畑さんは東大卒業後、学習研究社で動物記録映画を製作。68年に退社して本格的な著作活動に入り、「われら動物みな兄弟」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した。71年、北海道厚岸郡の無人島に熊や馬を連れて移住。翌年、浜中町に移って「動物王国」を建国し、動物との心温まる交流を書き続けた。

 80年に放送開始した「-ゆかいな仲間たち」シリーズで、世界を旅して動物に親愛の情を示す姿も共感を集めた。00年5月16日、ブラジルでの収録中、ライオンにかまれて右手中指第1関節の先を切断するなどしても動物を責めない人柄や、「ようし、よし」と体をなでながら距離を縮める愛情表現などが人気を博し、視聴率20%超、20年以上続く人気番組となった。

 当時のスタッフは「徹夜で小説を執筆したり麻雀をしても、朝から現場にいらっしゃいました。知的好奇心、探究心にあふれ、動物を愛しているのはもちろん、動物の生態にとても興味を持たれていました」と振り返る。

 YouTubeチャンネル「ムツゴロウの656」では、波瀾(はらん)万丈の人生を振り返りながら動物とのエピソードを生き生きと語った。タイトルはムツゴロウの語呂合わせで656回を目指したが、3月26日公開の104回が生前最後となった。

 関係者によれば、派手なことが苦手で「北海道の片隅で静かに逝くんだ」と話していたという畑さん。孫娘でタレントの津山舞花はツイッターで「祖父は私たちの、皆の心の中にずっと生き続けると思います」とつづり、「ずっと大好きだよー」と呼びかけた。

 ◆畑正憲(はた・まさのり)1935年4月17日生まれ、福岡市出身。父は医師。幼少期を満州で過ごす。東大卒業後、60年、学習研究社入社。68年に退社して本格的な著作活動に入り、「われら動物みな兄弟」でエッセイストクラブ賞。71年、北海道厚岸郡の無人島に熊や馬を連れて移住。72年、浜中町に移り「動物王国」を建国。77年、菊池寛賞。78年、中標津町に自宅とムツ牧場設立。80年、フジテレビ「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」開始。86年、映画「子猫物語」を監督。11年、日本動物学会教育賞。著書は「ムツゴロウの博物誌」「ムツゴロウの青春記」「どんべえ物語」など多数。西鉄で活躍した畑隆幸投手はいとこ。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス