たけし沈痛 坂本龍一さん死去に「戦場のメリークリスマスは俺だけになってしまいました」
テクノポップバンド「YMO」の活動や、「戦場のメリークリスマス」「ラストエンペラー」などの映画音楽でも知られた世界的音楽家の坂本龍一(さかもと・りゅういち)さんが3月28日に都内の病院で死去していたことが2日、発表された。71歳。遺志により、葬儀は近親者のみで行われた。悲しみの発表から一夜明けた3日、「戦メリ」で共演したタレント・ビートたけし(76)らが追悼コメントを寄せるなど、世界が喪失感に包まれた。
悲しみの発表から一夜。世界にその名をとどろかせた坂本さんの旅立ちに、国内外で悲しみが広がった。
坂本さんはステージ4の末期がんであることを2022年6月に公表。壮絶な闘病を続けてきた。亡くなる2日前の3月26日には、音楽監督を務める東北ユースオーケストラの演奏会をリモートで見守るなど、最期まで音楽とともに過ごした。
「戦メリ」で共演し、親交を深めたたけしは所属事務所を通じて沈痛なコメントを発表。「只々ショックで残念で仕方がなく言葉もありません」とし「戦場のメリークリスマスの監督、大島渚監督が亡くなってデビッド・ボウイが亡くなって、坂本龍一さんが亡くなって仲間がみんないなくなってしまい戦場のメリークリスマスは俺だけになってしまいました。」と盟友を失った悲しみに暮れた。
同作でヨノイ大尉を演じた坂本さんは、デビッド・ボウイ演じるセリアズ少佐に惹かれていく様を好演。ボウイの公式サイトやツイッターは83年に撮影されたボウイと坂本さんの2ショットを添え「REST IN PEACE RYUICHI SAKAMOTO(安らかにお眠り下さい)」というタイトルで追悼した。
初めて同作で映画音楽に携わったことが「世界のサカモト」のきっかけになった。俳優として出演を依頼した大島監督に「(映画)音楽をやらせてくれるなら」と交渉し、快諾を得た。この挑戦が、後に「ラストエンペラー」(87年)での日本人初のアカデミー賞オリジナル作曲賞受賞へとつながった。
「『戦場のメリークリスマス』に出演したことで、まったく人生が変わりました。あれによって今の自分があると思います。心からの恩人です」
13年1月22日。坂本さんは大島監督の葬儀・告別式で、そう弔辞を読みあげた。少年時代から心酔していた大島監督との出会いが世界に羽ばたく契機となった。今頃は天国で、大島監督に感謝の思いを直接伝え、ボウイと「戦メリ」談議に花を咲かせているだろうか。