市川海老蔵「十三代目市川團十郎白猿」襲名 コロナ禍経て9年8カ月ぶり大名跡復活

 歌舞伎俳優の市川海老蔵(44)が31日、東京・歌舞伎座「十三代目市川團十郎白猿襲名披露記念 歌舞伎座特別公演」の「顔寄せ手打式」をもって、十三代目市川團十郎白猿を襲名した。新型コロナウイルスの影響により、約2年5カ月の延期を経ての襲名で、父の十二代目團十郎が2013年2月に死去して以来9年8カ月ぶりの復活。歌舞伎界トップの大名跡を襲名した團十郎は「日々精進、努力する覚悟」と誓った。

 待ちに待った團十郎の復活に、歌舞伎界が祝福ムードに包まれた。俳優らによる手締め「顔寄せ手打式」には、俳優96人を含む関係者104人が登壇。團十郎が「元禄年間より続きました、この大きな名跡を相続するからには、歌舞伎のために歌舞伎とともに生きられる團十郎となれるよう日々精進、努力する覚悟でござりまする」と決意表明をすると温かい拍手が送られた。

 11月7日に八代目市川新之助として初舞台を踏む堀越勸玄くん(9)も「これからよろしくお願い申し上げます」と、緊張しつつも元気にあいさつ。松本白鸚(80)は「この両名、ますます芸道に精進いたすことと存じます。末永きご後援のほど、お願い申し上げます」と紹介し、尾上菊五郎(80)が手締めの音頭を取った。

 海老蔵時代は苦労も多かった。19年1月、延期前の襲名会見では「(襲名を)一番伝えたい人物は父と麻央」と、13年2月に死去した父の十二代目團十郎さんと17年6月に死去した妻でフリーアナウンサーの小林麻央さんの名を挙げた。

 「父親がいないのは心細いですし、支えてくれるはずだった麻央もいない」と寂しさもにじませたが、襲名について「歌舞伎のために生きられることが大きくなる」と決意を口に。父との思い出を問われると「私が復活したもの以外、全て父から教わった」と天を仰ぎながら語った。

 麻央さん死去の翌日は「僕を変えた奥さんじゃないですか。私が役者として成長していく過程をずっと見守ってもらいたかった」と落涙。その後は長女の市川ぼたん(11)と勸玄くんの子育てに奮闘した。海老蔵として最後の舞台となった10月22日には「父と別れ、妻とも別れ、さまざまな試練をちょうだいした」と試練を乗り越えた姿を見せていた。

 この日、歌舞伎十八番「勧進帳」では主人公・弁慶を勤め、花道を飛ぶように駆ける「飛び六方」などで観客を魅了。コロナ禍で禁止となって以来初めての大向う「成田屋!」の声が響いた。「父から教わった『勧進帳』は外せない」と強い思いを語っていた演目。團十郎としての第一歩をスタートさせた。

 小泉純一郎元首相(80)らも来場した公演はきょう1日も行われる。

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