77回目「原爆の日」 松井広島市長「核のボタンを無用のものに」核兵器廃絶を訴え

 被爆から77年の「原爆の日」を迎えた広島市の平和記念公園。奥は原爆ドーム
 平和宣言を述べる広島市の松井一実市長
 平和記念式典で献花する国連のグテレス事務総長
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 広島は6日、米軍による原爆投下から77年の「原爆の日」を迎え、広島市の平和記念公園で午前8時から「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)が営まれた。岸田文雄首相は非核三原則の堅持を表明し、核拡散防止条約(NPT)の維持・強化を訴えたが、核兵器禁止条約には言及せず。初参加したグテレス国連事務総長は核禁条約に言及、「希望の兆しはある」と強調し、核保有国に対して「核の先制不使用」の約束を求めた。国連当局者によると、先制不使用への言及は事務総長として初。

 グテレス氏は、被爆者の証言は「核兵器の愚かさを思い起こさせてくれる」と述べ、「ノーモア・ヒロシマ。ノーモア・ナガサキ」と訴えた。

 核保有国ロシアによるウクライナ侵攻のさなかの開催となり、松井一実市長は平和宣言で、核抑止力を支持する考えが勢いを増していると指摘。「一刻も早く全ての核のボタンを無用のものにしなくてはならない」と核兵器廃絶を訴えた。日本政府に対しては、開催中のNPT再検討会議で核保有国と非保有国の橋渡し役となるよう訴え、核禁条約の早期批准も求めた。

 原爆投下時刻の午前8時15分、会場内外で黙とうがささげられた。広島市の小学6年生から選ばれたイタリア生まれのバルバラ・アレックス君(12)と山崎鈴さん(11)は、「平和への誓い」を朗読した。

 新たに4978人を追加し総計33万3907人が記帳された原爆死没者名簿を原爆慰霊碑の石室に奉納した。被爆者健康手帳を持つ生存被爆者は3月末時点で11万8935人。平均年齢は84・53歳と高齢化が進む。

 式典後、被爆者団体代表らは首相と面会し「核廃絶の先頭に立ってほしい」と核禁条約の批准などを要望した。首相は即時に批准する考えは示さず、溝が鮮明になった。

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