将棋の藤井聡太棋聖（１９＝竜王・王位・叡王・王将との五冠）が永瀬拓矢王座（２９）の挑戦を受ける第９３期棋聖戦五番勝負第４局が１７日、名古屋市の「亀岳林　万松寺」で指され、藤井棋聖が１０４手で勝利し、１０代ラスト対局で３連覇を達成した。単独９位のタイトル通算９期として五冠を堅持した。

　千日手となった第１局以来の相掛かりに。先手の永瀬王座が序盤から軽やかに飛車を動かし、藤井棋聖は序盤から２歩損となったが、手堅く指し回して形勢は譲らず。「前例の少ない展開。歩損する展開で自信がないのかなと指し進めていました」と話した。中盤から着実にリードを築き上げて、最後は即詰みに討ち取った。

　四段のころからＶＳ（１対１の練習将棋）仲間で、手の内を知り尽くしている永瀬王座との初タイトル戦。第１局では２度の千日手の末、敗戦しタイトル戦連勝がストップ。第２局は勝利したが序中盤はリードされていたなど、苦戦も多かった。総括して、「１、２局目は苦しい展開が続いて、厳しいシリーズだったと思います」と厳しい顔。「結果を出せたのはよかったけど、厳しい戦いだったと思うので、ちゃんと振り返らないといけないなと思います」と喜びには浸らなかった。

　大盤解説に集まったファンには「ありがとうございました」と感謝を伝えると長考。「ずっと難しいのかなと進めていたんですが、なんとか結果を出せてうれしく思います」と思いを語った。永瀬王座は「最終局まで指せればもう一局見せられたけど力及ばなかった。また藤井さんとタイトル戦ができるように頑張りたいと思います」と前を向いた。