藤井棋聖 また出た!必殺手 一瞬の隙逃さず永瀬玉の退路封じる銀打ち 雪辱1勝1敗
将棋の第93期棋聖戦五番勝負第2局が15日、新潟市の岩室温泉・高島屋で指され、藤井聡太棋聖(19=竜王、王位、叡王、王将との五冠)が永瀬拓矢王座(29)に138手で勝利。シリーズ成績を1勝1敗の五分に戻し、永瀬王座への連敗も「3」で止めた。第1局は2度千日手となる大熱戦の末、タイトル戦連勝記録を歴代2位タイの「13」で止められたが、絶妙の一手を繰り出して雪辱を果たした。
連勝を止められた相手に、鮮やかな「勝負手」で借りを返した。
永瀬王座の先手で角換わり腰掛け銀となり、ほぼ互角で迎えた最終盤。藤井棋聖は永瀬王座の一瞬の隙も逃さなかった。永瀬王座が王手飛車取りをかけた場面で、藤井棋聖はためらわず玉を逃がし、永瀬王座は飛車を取った。藤井棋聖は狙ったように相手玉の退路を封鎖する銀を放ち、一気に勝勢へ向かった。解説陣も予想できなかった強烈な“返し技”で勝負を決めた。
局後、藤井棋聖は「仕掛けていったんですけど、受けられてちょっと思わしい攻め方が分からなかった」と回顧。「形勢を損ねてしまって、終盤はずっと苦しいのかなと思っていた」とこぼした。鮮やかな“妙手”銀打ちの局面については「ちょっと時間がなかったので、本譜は勝負手のつもりでやった」と説明した。
永瀬王座とは、東京と愛知を行き来してVS(1対1の練習将棋)を行う仲。初顔合わせのタイトル戦で、第1局は永瀬王座の“負けない将棋”の前に苦渋を味わったが、本局は藤井棋聖自慢の終盤力でタイに戻した。しかし本人は「2局とも内容的には押されていると思うので、第3局以降、内容をよくして戦えるようにしたいと思います」と険しい顔で話した。
第3局は7月4日、千葉県木更津市の龍宮城スパホテル三日月で指される。
