中村雅俊 70歳の挑戦 自身初の全編フルオーケストラと共演コンサート 8月スタート

 古希を迎え、新たな挑戦をする中村雅俊(撮影・棚橋慶太)
 古希を迎え、新たな挑戦をする中村雅俊(撮影・棚橋慶太)
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 歌手で俳優の中村雅俊(70)が、新境地を開拓する。8月28日の兵庫・西宮から始まる「billboard classics 中村雅俊 Symphonic Live 2021~Before DAWN~」と題したコンサートを全国4都市で開催。自身初の全編フルオーケストラとの共演コンサートとなる。古希を迎えての新たな挑戦、その思いや自身の現在地、これからを聞いた。

 「幸い、髪の毛はあって。白髪はあるんだけど、人より遅いっていうのはあるんで、ちょっとラッキーだなっていうのはあったりなんかしてね」。ちゃめっ気たっぷりに話す中村。2月で古希を迎えたが、その表情は充実感に満ちていた。

 フルオーケストラとの共演コンサートには「ちょっと考えただけでも、身震いする出来事ですよね」。今なお続く挑戦に「ものすごい勉強している。ウチのバンドのヤツとの曲選びなんかも何度も何度も変えたりとか。準備期間は長くも、深くもあった」と、高揚感を口にした。

 芸能生活は47年。俳優と歌手の二刀流を続け、コンサートの数は1500回超。主演した連続ドラマの数は34本にもなる。順風満帆に歩んできたが、昨年のコロナ禍で立ち止まることを余儀なくされた。昨年、今年のツアーは中止され、昨年決まっていた海外ドラマ出演や主演映画はキャンセルとなった。

 「去年は結構大事なものを失うことも多かった」。だが、後ろ向きになるよりも、ポジティブさが前に出る。「都合のいいヤツなんですよ」と笑いつつ「それがあったからというんじゃくて、それはあったけど、みたいな。もうちょっと頑張ろうかなみたいな気持ちも強い」と話す。

 年齢は感じている。「途中経過という感が強かった」という還暦から10年、意識も大きく変わった。「結構、残り時間っていうのはあまりないんじゃないかと」。ジムではインストラクターから「普通の70歳よりも、はるかにウエート上げてます」と太鼓判を押されるが、“限られた時間”が頭をよぎる。

 歌手の先輩たちから引退をほのめかされる機会も増えたといい、追いかけてきた人たちの言葉に「そういう年齢に俺も近いんだなということは、考えさせられましたね」としみじみと話した。

 「1日1日を大事にしようという意識は強くなった」と日々をかみしめる中で、デビュー50年も見えてきた。仕事への渇望はまだまだある。慶大時代を述懐し「俺の原点、出発点は英語。英会話クラブに入って初めて英語でお芝居をして、それを繰り返していくうちに興味を持って劇団に入ったんですよ。だから最初の出発点である英語劇をもう一回やりたい」と力を込めた。

 今欲しいものを「加齢のスピードを緩めてほしいな」と笑うが、仕事への熱量はみじんも衰えていない。未体験が詰まった今回コンサートに向けて「100%以上の気持ちでやる。久々に頑張ろうという気持ちでいっぱいでいます」。思いを、歌声に乗せる。

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