ジャズピアニスト巨匠 チック・コリアさん死去 79歳 死因は「珍しい形態のがん」

 「スペイン」や「ラ・フィエスタ」で知られる米ジャズピアニストの巨匠チック・コリアさんが9日に死去していたことが11日(日本時間12日)、公式サイトやフェイスブックで明らかにされた。79歳。米マサチューセッツ州チェルシー出身。発表によると、死因は「ごく最近見つかった珍しい形態のがん」だという。米メディアはフロリダ州タンパの自宅で亡くなったと伝えた。

 2019年、コリアさんは日本最大級のジャズフェス「東京ジャズ」のステージに立った。8月31日はアコースティック・バンド、9月1日はエレクトリック・バンドで、エネルギッシュかつ華麗なパフォーマンスを披露。日本の思い出を語ってから「銀閣寺」や「ジャパニーズ・ワルツ」を演奏していた。元気そのものの姿を見せてから、わずか1年半後の訃報だった。

 コリアさんは1941年生まれ。ジャズトランペット奏者の父親に影響され、4歳でピアノを習い始めた。

 モンゴ・サンタマリア楽団やハービー・マン(フルート)、スタン・ゲッツ(サックス)らのグループを経て68年、マイルス・デイビス(トランペット)のグループに参加。歴史的名盤「イン・ア・サイレント・ウェイ」、「ビッチェズ・ブリュー」で印象的な演奏を聴かせた。マイルスの説得で、エレクトリック・ピアノも演奏するようになった。

幅広いジャンル

 70年の「サークル」結成を経て、72年にスタンリー・クラーク(ベース)らと結成した「リターン・トゥ・フォーエヴァー」はジャズ/フュージョン史に残る大ヒットを記録した。他にもさまざまな形態で活動。ラテン、クラシックなど幅広いジャンルを取り入れ、作曲も数多い。

 2006年、米ジャズ界最高の栄誉とされる国立芸術基金(NEA)ジャズマスターズ賞を受賞。多作で知られ、グラミー賞は今年3月の発表分も含め67回ノミネートされ、23回受賞した。NEAはコリアさんを「ハービー・ハンコックやキース・ジャレットと並ぶ卓越したピアニストの一人」と評している。

 コリアさんは公式サイトなどに「音楽の炎を明るく燃やし続けることを助けてくれた全ての人々に感謝したい」、「私の使命は可能な限りあらゆる場所に創造の喜びを運ぶこと、敬愛する全てのアーティストと共にそうすることでした」とのメッセージを残した。

 率先して若手を育成してきた人らしく、「演奏すること、書くこと、パフォーマンスができる人たちは、そうしてほしい」と、最後まで後進を鼓舞した。

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