年末恒例の歌舞伎公演「當る丑歳　吉例顔見世興行　東西合同大歌舞伎」（１９日千秋楽）が５日、京都市東山区の南座で初日を迎えた。新型コロナウイルスの影響で同劇場は公演中止が続き、２月以来の公演となった。

　人間国宝に選定され、１１月に老衰のため８８歳で亡くなった歌舞伎俳優の坂田藤十郎さんの長男・中村鴈治郎（６１）と次男・中村扇雀（５９）は第１部の「傾城反魂香（けいせいはんごんこう）」で夫婦役を熱演。客席からの拍手を浴びた。

　大阪府から来場した女性は「顔見世は毎年来ている。今年はコロナで大変だが、この公演をやってくれてよかった」と心待ちしていた様子。藤十郎さんの訃報については「この公演で扇雀さんが演じている『おとく』を以前、藤十郎さんがやっているのを見た。残念です」と話した。

　今公演では、出演予定だった片岡孝太郎（５２）が新型コロナ感染のため無期休演。孝太郎の父で濃厚接触者に当たる片岡仁左衛門（７６）は６日まで休演する。客席も感染拡大防止のため１０８２席のうち４６６席だけの稼働とし、３部制各２演目など公演の期間や時間を短縮。コロナの影響でこれまでと違った開催となっている。