細野晴臣 50周年記念展に「生きる標本、老人の標本ですよね」
伝説的ロックバンドであるはっぴいえんどやYMOのメンバーで、松田聖子の「ガラスの林檎」や中森明菜「禁句」などを作曲したヒットメーカーでもある、日本を代表するミュージシャン、細野晴臣(72)のデビュー50周年記念展「細野観光1969-2019」(4日~11月4日、東京・六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー・スカイギャラリー)のオープニングセレモニーが3日、都内で開かれた。
展示は細野が「自分の中身が全部さらけ出されていて圧倒されました」と言うように、シンセサイザーやギター、ベース、パーカッションなど多種多様な楽器、高校時代に同級生の漫画家・西岸良平氏と描いた漫画も含む少年時代からの膨大なノート、蔵書、水原希子・佑果姉妹と楽器を演奏する映像、新たに作られた通称「音響樽」などの多角的な内容で、細野の豊かなキャリアと人間像を浮かび上がらせている。
細野は「50年一気に見せちゃうのはとてつもないこと。僕自身が一番疲れます」、「50周年、そんなに大変なことかなと思う。(井上)陽水さんも50周年ですしね。生まれてくればそういう時間はやってくる」などとぼやきつつも、「一人の人間の50年、70年ってのを見られることはひとつ、面白いかもしれない。生きる標本、老人の標本ですよね」と、シャイな表現で喜びをのぞかせた。
物持ちの良さが明らかになった細野は「自分がこんなに物を持っているとは」、「一番の印象は、捨てられない自分が嫌だということですね」と自虐し、「ホント、勘弁してもらいたいなという気持ちが一番強い。何が50周年だっていう…。早く来年にならないかな」と照れ笑い。
展示について「特にノートが恥ずかしいですね。全部恥ずかしいですけど、自分にとっての脳内のものってノートですよね。これは恥ずかしいなってのは時々ありますよ」と、見どころを示唆。
楽器も多く展示されているため、「スタジオに置いてあるのは皆こっちに来ちゃっていて困りますね」、「今困っているのは、(愛用のギターが)ここに1カ月陳列されているので使えないこと」とこぼしてみせた。
展覧会を見てもらいたい人を聞かれた細野は「母が今、歩けないんです。元気なんですけど、ここまで来られない。父は今いないので母に見てもらいたい」と願い、「僕の人生、音楽につきますから、その音楽を聴いてほしい。これからもあと10年くらいはできます」と、今後の活動に意欲を見せていた。