きん枝 辞退し続けた小文枝3月襲名 亡き師匠の名跡27年ぶり復活
3月に「四代桂小文枝」を襲名する落語家・桂きん枝(68)が24日、兄弟子の桂文枝(75)とともに東京・木場のデイリースポーツを訪れ、襲名のあいさつを行った。2人の師匠である故・五代目桂文枝の前名である小文枝を名乗るきん枝は「何十年後かに『今度の小文枝も良かったな』と言っていただければ」と真摯に決意を語った。襲名披露公演は3月12日に大阪・なんばグランド花月で行われる。
27年ぶりに「小文枝」の名跡を復活させるきん枝は、「大きな名前ですからね…。自分でええんか、という思いはあります」と正直な心境を吐露した。
「小文枝」は、師匠の故・五代目桂文枝が1954年から1992年まで、38年にもわたって名乗り続けた由緒正しい名跡。50年代から60年代には、四代目笑福亭枝鶴、三代目桂米朝、二代目桂福團治と「上方落語の四天王」の異名を取った。
きん枝が入門した69年当時も、師匠は「桂小文枝」を名乗っていた。過去には破門された経験もあるが、弟子の中で最もかわいがられた存在でもあるだけに、きん枝は「私にとっては、小文枝は1人しかいませんから」と、亡き師匠への思いをしみじみと語った。
文枝によると、きん枝は小文枝襲名を断り続けていた。だが、五代目の妻と、きん枝自身の妻から襲名を1年がかりで強く薦められ、受諾。文枝は「きん枝は非常に面倒見のいい男で、師匠の弟子、自分にとっての弟弟子の面倒もしっかり見ている。だから師匠の奥さまも、きん枝に継いでほしいと思われたんでしょう」と話した。
今後についてきん枝は「もう68(歳)ですから、どれだけできるか…」としながらも「何十年後かに今度の小文枝も良かったな、と言っていただけるようになれたらうれしく思います」と抱負を語った。
