新沼謙治“復興曲”人気でシングル化

 歌手・新沼謙治(57)の作詞作曲による、東日本大震災で被災した故郷への思いをつづった「ふるさとは今もかわらず」が、7月3日にオーケストラバージョンのシングルとして緊急発売されることが17日、分かった。4月9日に「NHK歌謡コンサート」に出演した新沼が同曲を杉並児童合唱団と合唱。学校や合唱団などから1000件を超える問い合わせが殺到したことで、合唱曲に対応できる作品としてシングルリリースが決まった。

 震災で景色は変わってしまっても、そこにある空気、住む人たちの温かさは変わらない。

 新沼が自分の足で故郷の岩手・大船渡を歩き、感じたままをつづった「ふるさとは今もかわらず」は、もともとは昨年11月に両A面シングルの2曲目として発売された。「教室のにおいがする曲。みんなで歌える歌にしたい」という本人の希望で、母校・大船渡市立第一中学校、長崎市立岩屋中学校、杉並児童合唱団の総勢44人のコーラスが2コーラス目から参加する壮大な曲に仕上がっていた。

 被災地への心を込めた曲は、全国で共感を呼んだ。4月9日の「NHK歌謡コンサート」で杉並児童合唱団と曲を披露すると、問い合わせが殺到。「合唱で歌いたいので楽譜が欲しい」。全国の学校や合唱団から、NHKや新沼の所属レコード会社への問い合わせは1000通を超えた。

 急きょ、発売元の日本コロムビアは、HPで合唱用の楽譜のダウンロードを開始。さらにシングルカットしての緊急発売を決定した。今月28日には「歌謡コンサート」に再出演し、合唱スタイルで披露することも決まった。

 新シングルは合唱用にこだわって制作され、オーケストラ演奏バージョンや女性三部合唱用など楽譜付きで収録予定。反響の大きさに新沼は「考えてもみなかった。自分の知らないところで歌っていただけるのはすごくうれしい。みんながこういう歌を求めていたから、す~っと心に入っていったのかな」と喜ぶ。

 今後、要望があれば各地で合唱にも応じるという。「自分の歌が少しでも、いい影響になれば」と全国に歌声を響かせ、復興を目指す故郷を後押しするつもりだ。

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