歌手・松任谷由実（５８）のデビュー４０周年記念ベストアルバム「日本の恋と、ユーミンと。」（２０日発売）に“幻のミュージックビデオ（ＭＶ）”が封入されることが３１日、分かった。１９７６年３月５日にリリースされた７ｔｈシングル「翳（かげ）りゆく部屋」の映像フィルムが発見され、アルバムの初回限定盤に付く特典ＤＶＤに収録される。結婚前の荒井由実名義での最後のシングル作品当時の“お宝映像”に注目が集まりそうだ。

　３６年の時を経て、ユーミンの“幻の映像”がよみがえる。「翳りゆく部屋」のＭＶは、まだ荒井由実時代の７６年に制作された。東京・文京区の東京カテドラル聖マリア大聖堂でのパイプオルガン演奏シーンや、７５年１２月に行われた日比谷公会堂でのライブシーン、７６年に行われた学園祭ライブの様子などがちりばめられている。

　フィルムは、今年９月に事務所の倉庫から発見された。ユーミンの長いキャリアの中で、ＣＤにＤＶＤが付けられることも初めてで、節目の４０周年にふさわしいライブ映像を探している際に見つかったという。

　７６年当時、ＭＶは主にテレビなど限られたメディアのみで公開された。その後、映像作品化されることなく、倉庫に眠り続けていた。見つかったフィルムは劣化が激しく、白黒に近い状態になっていたため、色情報を復元するなどして元通りにされた。

　「翳りゆく‐」は、夫・松任谷正隆氏（６０）との婚約（７５年１２月）から結婚（７６年１１月）の間に発表された。ユーミン自身も映像を見るのは３６年ぶりで、「当時はスタイリストなんてついてなかったから、銀座に帽子を買いに行ったり、新宿に黒のワンピースを買いに行ったり…すべてが手作りの時代だったことを改めて思い出しました」と懐かしんだ。

　「日本の恋と‐」には、「卒業写真」などデビューからの代表曲計４６作が収録された。現在も進化し続けるユーミンの歴史に触れる貴重な作品だけに、話題を呼びそうだ。