【9】日本ツアーは魅力的な働き場所
「藤井かすみのよもやま話・第9回=強者ぞろい 韓国選手1」
近年、女子ツアーでは韓国選手の強さが目立っています。例えばイ・ボミさん、申ジエさん、アン・ソンジュさん…。彼女たちはいずれも賞金女王を狙う実力者ばかりです。
韓国選手を見て感じるのは、しっかりとしたスイングをしていることです。それに体力もありますね。いい指導者にも恵まれているのでしょう。国を挙げてナショナルチームの強化に取り組んできた成果が出ているように感じます。
彼女たちはいずれも本場の米ツアーでも十分に通用する実力の持ち主ですが、あえて日本ツアーを拠点にプレーしています。申ジエさんは米ツアーで賞金女王と世界ランク1位に輝きましたが、昨季から日本ツアーに戻ってきました。
なぜ彼女たちは日本ツアーを選ぶのでしょうか。まず挙げられるのが移動の問題です。私もかつて何試合か出場しましたが、広大な国土を転戦する米ツアーは移動の距離が半端じゃありません。次の試合会場まで3000キロの移動なんてざらですし、一度遠征に出ると次に家に帰れるのは2、3カ月先なんてことも普通です。試合はほとんどが4日間大会で行われ、日本と違ってプロアマ戦も2日間行われます。とにかくハードの一言に尽きるのです。
ところが、日本ツアーでは、試合が終われば、その日のうちに自宅に戻れますし、韓国に帰ることだって簡単にできます。食事や生活面でも米国ほど大きな差はありません。
日本ツアーの試合数や賞金額が米ツアーに匹敵しているのも大きな理由です。韓国にも女子ツアーはありますが、それほど規模が大きくないこともあって、とにかく日本ツアーは魅力的な働き場所なのです。毎年のように新しい韓国選手が日本ツアーに参戦してくるのもうなずけます。
当然、日本の選手も韓国勢が優勝を重ねる状況に危機感を持っていますし、日本の選手が活躍できなければツアーの盛り上がりに水を差しかねません。ただ、私はここ数年のうちに現在の勢力図に変化が表れ、日本の選手が活躍する時代が必ず来るとみています。その理由は来週に。
◆藤井かすみ(ふじい・かすみ) 1967年11月30日、山口県岩国市出身。広島・安田女子高時代からソフトボール選手としてならし、東京女子体育短大時代は全日本大学選手権で優勝し、日本代表にも選出。23歳からゴルフを始め、95年にプロテスト合格。01年ベルーナレディースで初優勝を飾り、ツアー通算10勝をマーク。師匠は岡本綾子。夫は競輪選手の高橋健太。現在は兵庫・マスターズゴルフアカデミーでジュニアらを指導。162センチ、64キロ。
