66歳でエージシュート達成 生涯現役貫いたジャンボ尾崎さん 矜持を貫いた人生
男子ゴルフで国内ツアー94勝(通算112勝)を挙げた尾崎将司さんが23日、S状結腸がんのため死去した。78歳だった。親族が24日、発表した。「ジャンボ」の愛称で親しまれた人となりをデイリースポーツ担当記者がしのんだ。
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もうジャンボの時代は終わった。だれもがそう感じていた。60歳を越えたころから座骨神経痛に悩まされ、予選落ちや途中棄権が増えていった。全盛期を知る者から見ると、その姿は痛々しく、一部には「若手に出場の枠を譲るべき」という批判の声も上がっていた。
しかし、そんな雑音を封じ込めたのが66歳、2013年のつるやオープンだった。初日に1イーグル、9バーディー、2ボギーという神懸かったプレーで62をたたき出し、国内レギュラーツアーでは初となるエージシュートをやってのけた。ドライバーで300ヤードかっ飛ばし、「しばらくやってなかったからな」と右手をグイとひねるコブラポーズも披露。「ジャンボがすごいゴルフをしている」という一報を受け、私も途中から一緒について回った。ギャラリーと一緒になって固唾(かたず)をのみ、身震いするほど興奮した。
一見、豪放な性格に見えるが、とても繊細で心優しい人だった。いろんな選手のプレーをつぶさに観察し、気づいたことがあれば助言した。石川遼がスイングに悩んでいると知ると「遼、ちょっと来い」と練習場に呼んで、何時間も指導したこともあった。面倒見が良く、来る者は拒まない。孫ぐらい年が離れた選手からも「ジャンボさん」と呼ばれ、愛された。
「この年になると心も寂しくなってくるもんだよ。ひそかにベッドの中で泣いたこともある」と明かしたのは晩年のころ。飛距離は年々落ち、同組の選手にはるかに置いていかれた。それでもシニアツアーには出場せず、レギュラーツアーにこだわり続けた。「オレの夢はトーナメントで勝つこと。その夢を実現するために戦っているんだ」。最後まで「引退」の二文字は口にしなかった。生涯現役。プロゴルファーとしての矜持を貫いた人生だった。(デイリースポーツ・工藤直樹)





