堀琴音 国内メジャー初V 9年前悔し涙の1打競り負け→雪辱果たした「第二の故郷、兵庫で勝ててうれしい」
「女子ゴルフ・日本女子オープン選手権・最終日」(5日、チェリーヒルズGC=パー72)
首位から出た堀琴音(29)=ダイセル=が5バーディー、1ボギーの68で回り、通算19アンダーで国内メジャー初優勝を果たした。3年ぶりのツアー通算3勝目。2016年のこの大会で、畑岡奈紗に1打差で敗れた悔しさを晴らした。2打差の2位は65で回った佐久間朱莉(22)=大東建託。畑岡以来、大会2人目のアマチュア優勝を目指した15歳の広吉優梨菜(福岡第一高1年)は通算15アンダーの3位でローアマチュアに輝いた。
大ギャラリーが見つめる18番グリーン。堀は短いウイニングパットを沈めると、一瞬、泣きマネをした後、満面の笑みで両腕を高く突き上げた。
「この景色を夢見て、9年間ずっと頑張ってきた。(高校時代を過ごした)大好きな第二の故郷、兵庫で勝つことができてうれしい。9年前の忘れ物を取りにこられて本当に良かった」
1打リードで最終日を迎えた。同組で回るのはアマチュア優勝を狙う広吉。いきなり1番で並ばれたが、すぐに2番で突き放した。5組前で回っていた佐久間の猛追にも遭ったが「何があっても一喜一憂しない。地に足をつけて自分のプレーをする」と心に決めていた。10、11番で連続バーディーを奪い、16番でも伸ばして逃げ切った。
「心の中でずっとモヤモヤしていた」という2016年のこの大会。最終日の終盤、トップに立ったが、17番でボギーをたたき、18番で入れればプレーオフとなるバーディーパットも決められず、当時アマチュアの畑岡に1打差で競り負け、悔し涙を流した。
その後は大スランプに見舞われ、シード落ちも経験。「ショットは真っすぐいかないし、アプローチも寄らない、パターも入らない。絶望的な気持ちだった」。それでもあきらめなかったのは、9年前の“呪縛”を断ち切るためだった。持ち球をドローからフェードに変え、パターも長尺を握った。21年に復活のツアー初優勝。昨年クリスマスに結婚し、プライベートも充実。そして手にした日本一の称号だ。
「山あり谷ありの日々でした。でも、この9年間があったから、きょうの自分がある」と誇らしげに言った。「きょう勝ったことで他のメジャーも取りたくなった」。ビッグタイトルをつかんだ堀の新たな挑戦が始まる。
◇堀 琴音(ほり・ことね)1996年3月3日、徳島市出身。7歳からゴルフを始め、滝川二高を経て、14年のプロテストに合格した。21年のニッポンハム・レディースでツアー初優勝。22年のTポイント×ENEOSで2勝目を挙げた。ダイセル所属。姉の奈津佳もプロゴルファー。165センチ、65キロ。





