岩井明愛が米ツアー初V 妹・千怜に続き史上初の双子姉妹制覇 参戦1年目歓喜も「勝てるのかなっていう不安あった」
「米女子ゴルフ・ポートランド・クラシック・最終日」(17日、コロンビアエッジウオーターCC=パー72)
岩井明愛(23)=Honda=が米ツアー初優勝を飾った。単独首位から出て、6バーディー、ボギーなしの66で回り、通算24アンダーで後続に4打差をつけて圧勝した。双子の妹・千怜(Honda)が5月に勝っており、史上初の双子姉妹によるツアー制覇をルーキー年に達成した。姉妹優勝は4組目。今季、日本勢女子の米ツアー優勝は、2週前にAIG全英女子オープンを制した山下美夢有(花王)に続き5人目。千怜は5打差の3位に入った。
明愛の集中力は最高潮に達していた。1番でバーディーパットがカップに蹴られても、表情を変えない。5番と6番をいずれも1メートルにつけてバーディーにしたが、大きく喜ぶこともない。自分を信じ、目の前の1打に向かっていた。
7位から出て開始前に7打差あった千怜が、2イーグル、6バーディーのド派手な猛チャージで追いかけてきた。明愛も淡々と伸ばす。11番で7メートルのフックラインを決めて、小さく拳を握った。
14番では1・2メートルのバーディーパットを沈めてキャディーと控えめにグータッチ。18番で4・5メートルのウイニングパットがカップに沈むのを見届け、ようやく右手で力強くガッツポーズをした。インタビューでは号泣し、千怜、竹田にはシャンパンで祝福を受けた。
妹の追い上げは知らなかったという。「周りを気にしている余裕はなかった。千怜は今日、どれくらいで回りましたか?」と報道陣に逆質問。19アンダーまで伸ばしたと聞き「うわっ!危な!」と、妹の底力をたたえた。
プロ入り後、千怜に常に先を越されてきた。日本での初優勝は妹が2022年8月に果たし、自身は2023年4月。今季から一緒に乗り込んだ米ツアーでも、千怜が5月に初優勝を遂げた。
「自分も勝てるのかなっていう不安があった」と正直に打ち明けた。4月のJMイーグルLA選手権は最終ホールでボギー、1打及ばず今季2度目の2位にとどまった。「あの経験は生きた。緊張感の中で、ボールが右にいってしまうという材料があった。今日はそういうのを気をつけながらできた」。反省を結果につなげた。
双子での女子ツアー勝利は米ツアー初。次の焦点は、姉妹のどちらが先にメジャータイトルを取るか。「来年ですね。いつも心のどこかに千怜がいる。2人で頑張りますよ」。ようやく追いついた、仲のいい姉妹であり最大のライバル。物語はこれからも続く。
◇岩井明愛(いわい・あきえ)2002年7月5日、埼玉県川島町出身。8歳のとき千怜とゴルフを始めた。埼玉栄高に進学し、武蔵丘短大1年時の2021年、千怜とプロテストに合格した。23年4月のKKT杯バンテリン・レディースでツアー初優勝を挙げ、既に勝利していた千怜とともに国内ツアーで男女通じて初の双子制覇を達成した。昨年の米ツアー最終予選会を通過し、今季から本格参戦。飛距離のあるドライバーショットが持ち味。日本ツアーは通算6勝。名前の由来は母方の祖母・愛子さんから、千怜は父方の祖母・千恵子さんから、それぞれ1文字をもらった。161センチ、59キロ。




