都玲華 転機は疲労骨折「本当のプロになるための大事で欠かせない準備期間だった」遅れてきたルーキー
今年からJLPGAツアーを予選から決勝まで独占配信しているU-NEXTとデイリースポーツが注目の選手を取り上げる連載「推し活応援宣言」第2回は、新人の都玲華(21)=大東建託=を紹介する。ワールド・サロンパス・カップで8位となり、9月下旬までほぼすべてのツアー戦に出場が可能となった。表情豊かなプレースタイルで人気急上昇。4度目の挑戦でプロテストに合格した、遅れてきたルーキーに注目だ。
5月11日、ワールド・サロンパス・カップ最終日。都玲華は最終18番で、グリーン奥からチップインバーディーを挙げ、見事8位に入った。これで得たポイントなどにより、6月下旬からツアー戦出場の優先順位が大きく上昇。9月下旬まで、ほぼすべてのツアーに出場できることになった。
「大変なこともあると思いますけど、お世話になった皆さんのために頑張りたいです!」
学生時代はそこまでプロ志向が強くなかった。転機は高校3年で受けた2021年のプロテスト。2次テスト直前で腰椎付近に疲労骨折が見つかった。何とか2次は通過したが、痛みは加速度的に強まった。周囲の制止を振り切って、最終テスト2日目までプレーしたが、それが限界だった。
「ホールアウト後に、クラブハウスで(竹田)麗央の顔を見た瞬間に、涙が止まらなくなってしまって」
「どうしたの?」。心配する親友に、号泣しながら「腰が痛くてもうクラブを振れない」と告げた。棄権だけではない。半年近くまともにゴルフができないことになった。
同級生は尾関彩美悠がトップ通過。桜井心那、川崎春花、佐藤心結、小林夢果、そして竹田麗央と、のちに「ダイヤモンド世代」としてツアーを席巻するメンバーがそろって一発合格を果たした。置いて行かれたような心境になったが、周囲は都を見放したりはしなかった。
「治療やリハビリの病院や、再発防止のための動作解析のコーチなど、家族や周囲がいろいろ調べたり、紹介してくれたりして。そこで出会った皆さんにも、本当に良くしていただきました」
翌22年のプロテストでは、茨城・静ヒルズGCで行われる2次テスト前日に、使い続けていたドライバーヘッドにヒビが入っているのが見つかった。すると同行していた父が名古屋まで自家用車を飛ばし、やはり徳島の実家から車で急行してきた母からスペアのヘッドを受け取って、翌朝のスタートぎりぎりにコースまで運んできてくれた。
この様子に胸を打たれた石井忍プロが、専任のコーチとして都を受け入れることを了承するなど、熱心なサポートがさらなるサポートを呼ぶようにもなった。プロになって、支えてくれるみんなに恩返しをしたい。そんな気持ちは、サポートの輪が広まるにつれてより強くなっていった。
「私は学生時代にそんなに意識高くやってきたタイプではなかったので『プロとして周囲のサポートに応えられるようになりたい』という気持ちを高める時間が必要だったんだと思います。なかなかテストに受からなくて大変だったね、と言われることもありますけど、私としては本当のプロになるための大事で、欠かせない準備期間だったと捉えています」
国内最多の観客動員を誇るワールド・サロンパス・カップで好成績を残せたのも「みんなにプレーを見てもらえるのが大好き」というプロ意識があってのことだ。サポートへの感謝が、応援を受けての高揚が、私をもっともっと強くする-。遅れてきたルーキーが、本領発揮の時を迎えている。
◇都玲華(みやこれいか)
◆生い立ち
2004年2月18日、徳島県生まれ。8歳でゴルフをはじめる。生光学園高在学中の19年に四国ジュニア優勝、四国アマ2位などの成績を挙げる。
◆得意なクラブ
8番アイアン。師匠の石井忍コーチは「最初に見たときから、アイアンの球が生きている。スピンでホップする形で高さが出せて、高角度でピンの根元が狙える」
◆仲がいい選手
「川崎春花プロは小学生の時に全国大会で話をして以来ずっと仲良くしてもらっています。あとは竹田麗央プロ。今もよくLINEをしていて。アメリカでのプレー、生活が本当に楽しそうだといつも感じてます」
◆ハマっている食べ物
「韓国のりをラウンド中も食べようかなと。暑くなってくるので、塩分をとらないといけないですよね。何より、いくら食べても太らなそうなので(笑)」
◆SNSで大バズり
ワールド・サロンパス・カップ最終日最終ホールのチップインバーディーと、その後喜びすぎて拾い上げたボールを自分の顔にぶつけてしまうというてん末が、日本女子プロゴルフ協会の公式SNS投稿で話題に。Instagramのリール動画は100万回以上も再生された。





