今年から日本女子プロゴルフ協会（ＪＬＰＧＡ）ツアーを予選から決勝まで独占配信するＵ－ＮＥＸＴとデイリースポーツが注目の選手を取り上げる連載「推し活応援宣言」がスタート。第１回は開幕戦のダイキン・オーキッド・レディースで２位タイに入るなど、１７日に２０歳になる若手の有望株・菅楓華（ニトリ）を取り上げる。１０代でのツアー優勝はできなかったが、実力は折り紙付きだ。

　強い雨風の裏街道で、新しいスターはすでに光を放っていた。３月６日、国内女子ツアー開幕戦のダイキン・オーキッド・レディース。菅は有名選手が少ない１０番スタート組で、プロ２年目をスタートさせた。折り返しの１番パー４。平均スコア４・５２７８の最難関ホールで、１５０ヤードからの第２打を６メートルにつけバーディー。「今年は来るやろな」。ゴルフ専門記者のつぶやきが、人もまばらなあたりに響いた。

　初日終了時点で単独首位に立っただけではない。第３日終了時にも再び単独首位にたち、岩井千怜、申ジエとともに最終日最終組に。世界レベルの実力者ふたりと並んで堂々たるプレーを展開し、通算６アンダーの２位タイに食い込んでみせた。

　ショットの正確さ、ショートゲームのうまさはもちろん、構えるとすぐにショットやパットを放つプレーの速さも目を引いた。

　翌々週の今季第２戦、Ｖポイント×ＳＭＢＣでは単独２位。さらに次戦のアクサ・レディースでは地元・宮崎の応援を受け、開幕戦に続き首位で最終日を迎えた。最終日最終組を開幕戦から３試合続けたのはツアー史上初めて（記録の残る２００２年以降）。結果的には６位で終わったが、ツアーの主役としての認知を得た。

　菅は「去年からパター専門のコーチをつけて、すごく細かく分析をしてもらっています。自分の悪いところ、クセが分かってきたので、修正がしやすくなった。ショットは得意なので、パターが入ってくれればいいなと思っていたんですが、それが今とても順調に来ています」と言う。

　２０２３年１１月の最終プロテストで５位に入り一発合格。直後のツアー最終予選会でも５位に入り、レギュラーツアー出場権を獲得したかに思えた。だが、その３日後にまさかの連絡が届いた。スコアの過少申告による失格－。菅のスコア記録を担当した同伴競技者が、バーディーのホールをパー、ボギーのホールをパーと記載していたことに気付かず、スコアを提出してしまっていた。

　その日はずっと泣き続けた。その後もスコア提出のたびに思い出し、胸が苦しくなった。それでも、限られた出場試合でトップ１０に４回入るなど結果を残し続け、最終的には２２試合に出場できた。年間ランキング６３位でシード権の獲得こそならなかったが、実はパーオン率１４位、平均パット数１７位、平均バーディー数は１０位とトップクラスのスタッツを残していた。

　昨年末のツアー最終予選会では２０位。正確なスコアも提出して、今度こそツアー前半戦の出場権を得た。オフにはプロ野球・西武の今井達也投手、ソフトボールの上野由岐子投手らの合同トレーニングに参加。体重を４キロ増やすなどフィジカル強化に成功しただけでなく、メンタル面でのアドバイスも得た。

　１０代のうちに優勝を－。高い目標を掲げ、開幕から常に上位で戦い続けたが、１０代最後の試合となった先週のワールド・サロンパス・カップでは予選落ちに終わってしまった。「優勝を意識しすぎて、結果ばかり考えていた」。念願はかなわなかったが、今週からは重圧から解放されてプレーができる。２０歳でのツアー初優勝で「次なる絶対女王」へ名乗りをあげる。

　◆生い立ち　　　　　　　　

　２００５年５月１７日、宮崎県生まれ。６歳でゴルフをはじめる。中学１年生で九州中学校ゴルフ選手権優勝。日章学園高２年時に日本ジュニア２位に。

　◆得意なクラブ　　　　　　　

　「９番アイアンが昔から好きです。パー５の第３打は９番アイアンの距離を残すようにしています」

　◆憧れの選手　　　　　　　

　「鈴木愛さんや小祝さくらさんを見て育ちました。あとはアマチュア時代から同じ九州出身の桜井心那さんに憧れていました。プロになって話しかけてもらえて、ものすごくうれしかったです」

　◆休みの日の過ごし方　　　

　「免許を取ったので、今は自分のクルマを運転するのがすごく楽しいです。あとはとにかく眠るのが好き。いつでもどこでも眠れます」

　◆ヘアスタイルのこだわり　

　「ずっと髪が長いので、高校のころから髪を三つ編みにしています。髪質的に太くて量が多いので、ボリュームが出てしまうのですが」