【綾子の視線】QT3位通過木戸愛さん人生は今から

 デイリースポーツ評論家の岡本綾子氏がシーズンオフも随時、ゴルフ界の現状、課題などを「綾子の視線」として独自の視点でつづります。

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 男女ツアーともに大いに盛り上がった2019年シーズンが終了しました。今から20年シーズンの開幕が待ち遠しいですが、オフ期間にも私なりの「視線」でいろいろ語っていきます。どうぞよろしくお願いします。

 さて、3~6日に女子のファイナルQTが開催されました。来季の出場権を懸けた戦いではありますが、QTでの「一打」は自分の生涯を変える「一打」になるかもしれない。わずか1ストロークの差が人生を左右する、過酷な戦いです。

 そのQTを3位で通過した木戸愛さんですが、この1年間、遠回りばかりしていたのに、ここで数字を出せるのはなぜか。木戸さんは30歳になる今年、9年連続で保持してきたシード権を失った。同世代の選手が多くやめていった。木戸さん自身もクラブを置く時、引退というものが頭をちらついたはずです。それを乗り越えたと言うと大げさですが、もう一花咲かせたいという情熱があるからこそ、1年の最後に集大成と言える結果を残せたのでしょう。

 私が現役時代、一番苦しかったのは二度の腰の手術をした時。クラブが振れなくなったらどうしよう、これからどういう生活をしていこうか、と。実際にいろいろな仕事の時給を調べましたし、トラックの運転手になろうかと大型免許の取得を真剣に検討したこともあります。転職するのに大きな勇気は必要ありません。それでもアスリートは試合での興奮、緊張感をもう一度経験したくて、練習に打ち込む日々に戻ってくる。木戸さんの人生は今からだと、私は思っています。

 ただ、若い選手の台頭が目立つのも事実。30歳前後の選手は、20歳前後の選手がなぜこんなに数字を出せるのか、ポイントを探らないといけない。私なら「私は何で負けているの」「彼女たちは何がいいの」「どういう練習をしているの」と見て、聞いて、それを盗んじゃう。ベテランになると「私は私」と言いたがるけど、威張るならいい数字を出さないといけません。

 年齢に関係なく、うまい選手には積極的に聞いてみる。逆に聞かれた場合は教えてあげて、その選手が自分よりうまくなったら、もう一度その選手に聞きにいく。自分が「赤」だと教えたものが「紅(あか)」や「朱(あか)」に変わっているかもしれない。自分の教えをどのように解釈したのか、それを聞いて、また自分のものにしちゃえばいいんです。うまくなるのに、すごいコーチなんて必要ありません。学習は自分でできますから。

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