【舩越園子の目】ウッズに不可能なんてない
「米男子ゴルフ・アーノルド・パーマー招待・第3ラウンド」(17日、ベイヒル・クラブ=パー72)
アーノルド・パーマー招待の舞台、ベイヒルに巨大なボランティアテントがある。毎日の試合が終わると、仕事を終えたボランティアたちがテントに戻り、ゴルフ談義に花を咲かせ、疲れを癒やす。
タイガー・ウッズが首位と5打差の10位に付けた3日目の夜。テントの前で踊っているボランティアが10人ほどいた。ラップ調の歌が実にリズミカル。「それは不可能?ノーノーノー!不可能なんてない」「だから勝つぜ、ゴーゴー、タイガー!」日本語化するとそんな感じの歌だった。
「明日、とてもいいスコアで回れば圏内」と優勝を現実的に意識しているウッズ。勝てば、同一大会9勝は米ツアーの新記録。18回目の出場で9勝目を挙げれば優勝確率は50%になる。冗談みたいな数字だが、人々が不可能だと思うことを可能にしてきたウッズだからこそ、復帰わずか5試合目で復活優勝という奇跡を実現すると思えてくる。
明日の最終日の夜、テントの前で再びラップが聞けたら、どんな歌詞になるのか?ウッズが優勝したら「不可能なんてなかったね」。優勝を逃したとしても「不可能なんてないと信じられたよね」。
勝敗はさておき、すでにウッズはみんなに夢を与えてくれている。
(在米ゴルフジャーナリスト)