南アを食らえ!控えも一丸“ウオーターボーイ”徳永「勝つためにサポート」
ラグビー日本代表は15日、東京都内で、W杯準々決勝南アフリカ戦(20日・味スタ)に向けてウエートトレーニングなどで再始動した。練習後の会見にはこれまでベンチ入りしなかった5選手が登場。試合には出場していないが、それぞれ役割を果たしてきた。フランカー徳永祥尭(27)=東芝=はウオーターボーイとして試合中の選手に水を運ぶほか、スタンドに陣取るジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC=49)からの戦術伝達もこなす。さらに全員で対戦相手チームを詳細に分析、完全コピーして練習台になってきた。ベンチ外のノンメンバーも含めた「ONE TEAM」で南アフリカも撃破する。
大役は落胆から始まる。週始めに31人の代表選手の中から、23人の試合登録メンバーが発表される。この時点で8人は試合に出られないことが決まる。
「発表初日はへこんで気分が上がらないことが多いです。でも、引きずらず、勝つためには自分たちのサポートが大事なので、切り替えています」
そう話すのは徳永だ。ジョセフHCから任命され、全4試合で“ウオーターボーイ”を務めている。
試合中にピッチサイドに待機し、選手に水を運ぶウオーターボーイ。実は重責も担う。試合中、首脳陣はスタンドに陣取る。試合はゲーム主将を中心に選手主導で進める。ウオーターボーイにはイヤホン越しに届くHCの指示や、客観的な立場から気付いた点を選手に伝える役目がある。
サモア戦の前半途中、リーチ主将が徳永の元に向かい、話し込んだ。リーチ主将は「キックオフの(時の守備)位置をもうちょっと下げるのと、もう1点は言えないです」と重要なアドバイスがあったことを明かす。「彼は落ち着いた声をかけてくれる賢い人」と頼りにしている存在だ。
少しだけ落ち込んだ後、ノンメンバーたちは試合に向けた準備に入る。徳永は「FWは基本的にラインアウトとスクラムを分析することが多い、ノンメンバーと分かった段階でその日の夜から準備を始める」と明かす。
FW陣は相手のセットプレーを細かく研究する。プロップ木津は「相手チームのセットアップをコピーする」、フッカー北出は「意識しているのは試合以上のプレッシャーをかけること」。相手のプレーを“完コピ”して、スクラムでは時には8人対10人で組んで相手の圧力を再現する。BK陣もサインプレーやセットプレー後の相手のプレーを分析、チームに還元してきた。
プロップ稲垣は「相手を分析して似たスクラムを組んでくれる。ラインアウトもそう。動きを研究したりして守備を練習させていただいて。本当に感謝したい」と話していた。
その成果は、大きく重い相手に負けないスクラム、成功率の高いラインアウトで如実に表れている。ノンメンバーも含めて「ONE TEAM」。準々決勝も、31人全員で勝ちにいく。