稲垣7年目で魂の代表初トライ 「一番いい舞台で一番いいトライ」

 「ラグビーW杯、1次リーグA組、日本28-21スコットランド」(13日、日産スタジアム)

 A組は世界ランキング8位の日本が28-21で同9位のスコットランドを破り、4連勝の同組1位で初の8強入りを決めた。20日の準々決勝で、B組2位の南アフリカと4強入りを懸けて激突する。

 “笑わない男”はやはり、笑わなかった。日本ラグビーの歴史の扉をこじ開けたトライにも、プロップ稲垣の強面が崩れることはなかった。7-7の同点で迎えた前半25分、WTB松島の突破が活路となり、最後はFBトゥポウからパスを託された背番号1がインゴールに飛び込んだ。

 2度目の出場でW杯初どころか、7年目の代表で初トライ。「みんながつないでくれて、トライするのはこんな気分なんだなと。一番いい舞台で一番いいトライをさせてもらった」と稲垣。それでも「笑ったことないですねえ」と、8強進出を決めた試合後も強面(こわもて)を崩すことはなかった。

 理路整然とした語り口でラグビーを説く。明瞭な弁舌の原点は主将を務めた関東学院大時代の恩師、春口広氏によるところが大きい。6度の大学日本一に導いた名将の講演会に連れられた際には「トイレ行ってくるから話をつないでおいて」と“むちゃぶり”され、戸惑いながらも300人以上の聴衆の前でスピーチ。「自分のプレーに対しての考えをしっかり言葉にする上で役に立っている」と振り返る。

 早熟だった小学時代、友人と集まり「男とはどうあるべきか」と話し合った。男とは「弱みを見せないこと」。その考えは今も変わらないという。野性味あふれる風貌は、近寄り難い雰囲気も漂わせるが、言葉には人情味があふれる。メンバー外の選手に対して「本当に感謝を伝えたい」とねぎらう。スクラム練習で対面となる、今大会一度も出番のない木津に対しても「どんどん強くなっている。彼と(スクラムを)組むのが一番しんどいかもしれない」と最大級の賛辞を贈った。

 「もっともっといい景色を見られるよう、チーム一丸となって頑張っていきたい。台風によって被災した方々に、ラグビーで元気を取り戻していただきたい」。愚直なファイトで列島を笑顔にする。

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