【伊藤鐘史が斬る】キャッチングの精度の差が出た
「ラグビー・リポビタンDチャレンジカップ、日本7-41南アフリカ」(6日、熊谷ラグビー場)
世界ランキング10位の日本は、同5位でW杯優勝候補の南アフリカと対戦。WTB松島幸太朗(26)=サントリー=のトライなどで一矢を報いたが、7-41で大敗した。力強く速い相手に対し、ミスや精度を欠くプレーで次々と失点。磨いてきたキックを多用する戦術も封じられ、自信を持っていた得点力は発揮できなかった。
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あらためて、ラグビーにおいてキャッチングのスキルがいかに大事か、ということを思わせる試合でした。ボールをキャッチする際の精度が、そのまま差となって出た試合と言えるでしょう。
相手のプレッシャーがきつかっため、ミスを犯したとも考えられます。負けはしましたが、数的優位を作れた場面がありましたし、崩してもいました。ただ、崩したところにうまくボールを運べませんでした。
W杯になると、そうそうチャンスは訪れません。あと2週間、キャッチングのスキルを上げていくことはもちろんですが、ボールを取れた後にどう切り返すか、を考えていくことです。
キャッチしても、止まって蹴り出していたら今日のような結果を招きます。切り返しの速度を上げ、ランかキックの選択をしていくことです。日本は攻めながらキックをしていかなくてはいけません。
W杯を見据えて、強豪国のプレッシャーを経験できたことは大きいと捉えることです。パシフィック・ネーションズ杯のようないい状態のままでいくと、ひどい目にあってしまうことだってあり得ます。いい意味で勉強になった、と考えることが大切です。(2015年W杯日本代表ロック。現京産大コーチ)