羽生怒りの首位発進「よっしゃ見たか」

 「フィギュアスケート・世界選手権」(3月30日、ボストン)

 男子SPで2大会ぶり2度目の頂点を目指す羽生結弦(21)=ANA=が2つの4回転を含む全3つのジャンプをまとめ上げ、昨年12月にマークした自身の世界歴代最高に0・39点差と迫る110・56点で2位のハビエル・フェルナンデス(スペイン)に12・04点の大差をつけて首位発進した。3位はパトリック・チャン(カナダ)。4月から中京大に進む初出場の宇野昌磨(18)は90・74点で4位だった。

 滑り終えても、沸き上がる闘志を抑えるのは無理だった。「よっしゃー、見たかぁ!」と絶叫した羽生が、大きくうなずく。会場のTDガーデンを本拠地とするNHLブルーインズの戦士も顔負けの、野獣のような笑みが浮かんでいた。

 4回転サルコーを皮切りに、4回転-3回転の連続トーループ、トリプルアクセルを立て続けに決め、出来栄え点(GOE)を積み上げていく。トラブルの怒りを鬼気迫る演技に変えた。

 「精神状態はぐちゃぐちゃでしたけど…」と振り返ったのは、昼の公式練習。SPの曲をかけて滑っている最中に、進路でスピンを続けたデニス・テン(カザフスタン)と接触しそうになった場面だ。反射的に「そりゃねえだろ、おまえ!」と怒声を張り上げ、鬼の形相でテンをにらみ付け、無理やり跳んだ直後のジャンプで転ぶと、拳でドンと壁をたたき、さらにエッジでリンクを蹴りつけた。

 「あれは多分、故意だと思うんですけどね。ビデオを見たとき、僕の方向をちゃんとチェックして、普通だったら入らないスピンの方向に入っているので、おかしいだろうなって」と状況解説を始めた羽生。SP前夜の公式練習でもテンとニアミスして滑走軌道を外す機会が2度あり、既に“導火線”がくすぶっていたのは確かだ。

 ひとしきりテンのマナー違反を責めた後、「そういうことに怒ってしまった自分に対して、まずそれがダメだなと思っている」と反省の言葉を継いだ。心の乱れは、伸びしろと考えてきた終盤のステップシークエンスに表れ、最高評価の「レベル4」をもらえなかったが、これほど心が乱れても2位以下を突き放すのが絶対王者。2日後のフリーはどう気持ちを立て直し、歴代初の300点超えを遂げた革命的シーズンを締めくくるか。

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