阿部一二三&詩 3年ぶり同日世界一 ともに苦戦乗り越え頂点へ「素直にうれしい」 狙うはロス五輪同時「金」
「柔道・世界選手権」(5日、バクー)
男子66キロ級の阿部一二三(29)と、妹で女子52キロ級の阿部詩(26)=ともにパーク24=が優勝した。一二三は準決勝で前回覇者の武岡毅(パーク24)に優勢勝ち。決勝はダビド・ガルシアトルネ(スペイン)に一本勝ちして日本男子単独最多となる5度目の頂点。詩は決勝はアリアネ・トロソレル(スペイン)に延長の末に辛勝し、2年連続6度目の大会制覇。優勝回数は日本女子最多7度の谷亮子にあと1と迫った。23年ドーハ大会以来3年ぶりに、兄妹そろって世界一に輝いた。
3年ぶりにそろって優勝した。柔道界の顔である「阿部きょうだい」は「素直にうれしい」と、表彰式前にハイタッチを交わすなど喜びを分かち合った。
今大会は2人とも苦戦が続いた。一二三のヤマ場は準決勝だった。昨年覇者で2歳下の武岡に対し、中盤で先に指導2を受ける。劣勢から残り約30秒、担ぎ技に入った相手の首元をカウンターのように捉えてねじ伏せた。隅落としで有効。さらに右大内刈りで有効を重ね、昨年から直接対決で2連勝とした。「空間を把握して試合ができた」と涼しい顔で話した。
詩は敗戦の「恐怖」に縛られ、躍動感を失い苦戦。ライバルに対策を練られ「勝ちたい気持ちと、投げられたくない思いがあった」と迷いが生じた。決勝は徹底的に返し技を狙ってきた相手に踏み込めず、技を繰り出せない。3分を超えた延長戦の末に指導3の反則勝ちを収めたが、すっきりしない内容だった。
お互いの存在が励みとなる。詩は「兄の闘いを初戦から見ると、きついなあと思った。それでも勝ち上がってくるのは本当にすごい」と感心。一二三は「妹も今までは圧倒的に勝ってきたが、苦しい試合もあった。それもチャンピオンの宿命。自分もまだまだ成長できる」と奮い立った。
兄妹が目指すのは28年ロサンゼルス五輪の金メダルだ。兄が「夢をかなえるために人生を懸ける」と決意を示せば、妹は「このまま突っ走りたい」。初めて同日世界一に輝いた18年大会と同じ開催地、バクーで新たなスタートを切った。
◆阿部 一二三(あべ・ひふみ)1997年8月9日、神戸市出身。神港学園高から日体大を経て、パーク24所属。男子66キロ級。2021年東京五輪、24年パリ五輪金メダル。全日本選抜体重別選手権は16、17、22年制覇。世界選手権は17、18、22、23、26年優勝。得意は背負い投げ。167センチ。
◆阿部 詩(あべ・うた)2000年7月14日、神戸市出身。日体大卒。女子52キロ級。21年東京五輪金メダル。24年パリ五輪代表。世界選手権は兵庫・夙川学院高(現夙川高)3年時の18年に制し、19、22、23、25、26年も優勝。25年は全日本選抜体重別選手権で初優勝。得意は袖釣り込み腰、内股。158センチ。
