炎鵬 1141日ぶり関取星「今日までやってきて良かった」 国技館響いた大歓声に笑み「最高です」
「大相撲夏場所・初日」(10日、両国国技館)
横綱豊昇龍が小結高安に敗れ、いきなり土がついた。上手投げで敗れた際に右太もも裏を痛めたもようで、車いすで館内の診療所に向かい治療を受けた。大の里が初日から休場し、一人横綱が悲願の昇進後初優勝どころか休場、横綱不在の危機に陥った。大関に復帰した霧島は隆の勝をはたき込んだ。大関琴桜は藤ノ川に突き出され黒星発進。首の大ケガから十両に復帰した炎鵬は栃大海を押し出し、1141日ぶりの関取星を挙げた。
不撓(ふとう)不屈の小兵が、十両の土俵に戻ってきた。炎鵬が23年春場所の千秋楽以来となる1141日ぶりの関取星を挙げ、「今日までやってきて良かった」と感慨。初日から9連敗を喫して大けがを負った同年夏場所に思いをめぐらせ、「この1勝を前回はできなくて、あの日を塗り替えられた…払拭できた気がする」と喜びをかみしめた。
三賞受賞経験のある人気力士の帰還に、国技館は大歓声。土俵入りから声援が場内に飛び交い、しこ名が書かれたタオルが多く掲げられた。取組では立ち合いから鋭く踏み込み、低い姿勢のまま力強く相手を押し出し。「怖かった」と率直な感想を漏らしつつ、声援には「最高です」と頰を緩めた。
十両だった23年夏場所9日目に脊髄損傷の重傷を負い、病院では約2週間ほぼ寝たきりの状態となった。日常生活すらも送れない危険な状況だったが、過酷なリハビリを乗り越え、24年名古屋場所で復帰し、今場所で十両返り咲き。元幕内が序ノ口降下後に再十両を果たす昭和以降初の偉業を打ち立てた。
この日は母の日。両親も観戦に訪れ、炎鵬は「これもめぐり合わせ。母には『悔いなくやりなさい』と言葉をもらっている。白星を挙げられて良かった」とうなずいた。今場所は18場所ぶりに15日間の戦いが続く。「何よりの喜び。準備をして土俵に上がれたら」と充実感を込めた。
