「フィギュアスケート・全日本選手権」（２１日、国立代々木競技場）

　女子は坂本花織（２５）＝シスメックス＝が５連覇を達成。千葉百音（２０）＝木下グループ＝がＳＰから一つ上げて３位となり、４位に入った中井亜美（１７）＝ＴＯＫＩＯインカラミ＝とともに来年２月のミラノ・コルティナ冬季五輪代表入りが決まった。ジュニアで代表資格がない島田麻央（１７）＝木下グループ＝が２年連続２位。ペアはＳＰ２位の長岡柚奈、森口澄士組（木下アカデミー）が２年ぶり２度目の優勝を果たし、フリーを棄権した三浦璃来、木原龍一組（木下グループ）とともに五輪代表入りが決定。１枠のアイスダンスは吉田唄菜、森田真沙也組（木下アカデミー）が２連覇し、団体要員での初出場が決まった。

　笑顔が引きつり両手で頰をほぐす。会見で１０分以上のフォトセッションを求められた１７歳の中井だ。４位だったが、日本勢最上位の２位だったＧＰファイナルの成績が評価されて初の五輪代表に決定。「ずっと夢だった五輪出場がかなってすごくうれしい」と笑みを浮かべた。

　シニアとして初めて臨んだ全日本選手権は、武器とするトリプルアクセル（３回転半ジャンプ）で転倒。その後は立て直したが、表彰台には一歩届かなかった。「今までで一番緊張した。重圧は乗り越えられなかったけど、４位で悔し涙を流せて成長」。話すたびに目はうるんだが一度も下を向かず、真っすぐ夢舞台の戦いを見据えた。

　浅田真央さんが１０年バンクーバー五輪で銀メダルを獲得した演技に魅了され、５歳から競技を始めた。同じトリプルアクセルを武器に、今季はＧＰシリーズで３度の表彰台と大きく飛躍。メダル候補に名乗りを上げた。

　憧れの存在と同じ舞台に立つ。「この経験をもったいなくならないようにしたい。結果を残すことが新しい夢になった。かなえられるように頑張りたい」。次はイタリアの氷上で笑ってみせる。

　◆中井亜美（なかい・あみ）２００８年４月２７日、新潟県出身。浅田真央さんに憧れて５歳で競技を始め、２１年に千葉県に拠点を移し、中庭健介コーチの指導で成長した。２３年世界ジュニア選手権３位。シニア本格参戦の今季、ＧＰシリーズ開幕戦のフランス大会で日本女子史上３人目の初出場優勝を果たした。ファイナルで日本勢トップの２位。通信制の勇志国際高千葉２年。１５０センチ。