坂本花織 涙の有終5連覇!決めた3度目五輪 「人生虹色だな」スケート人生の締めくくりに「愛の讃歌」見事に表現

 フリーの演技を終え、万感の思いで両手を突き上げる坂本花織(撮影・石井剣太郎)
 涙を流す坂本花織
 表彰式で笑顔を見せる坂本花織(中)、2位の島田麻央(左)3位の千葉百音
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 「フィギュアスケート・全日本選手権」(21日、国立代々木競技場)

 女子は今季限りで引退する坂本花織(25)=シスメックス=がショートプログラム(SP)に続き、フリーでも1位となり、合計234・36点で史上5人目の5連覇を達成。来年2月に行われるミラノ・コルティナ冬季五輪の代表に決まった。五輪は18年平昌(6位)、22年北京(銅メダル)に続き3大会連続3度目の出場。ミラノの地で有終の美を飾る。

 指の先までピンと伸ばし、大きく両手を広げる。そのまま、うれし涙がつたう顔を覆った。5連覇を果たし、自らの手でつかみとった五輪切符。「目標に向かって全力で演じ切れた。本当にやりきったの一言に尽きる」。自身のバナータオルのオレンジ色で染まった観客席に囲まれ、その真ん中で決めた。

 中野コーチに2度背中をたたかれ、リンクに飛び出すと、次々とジャンプを降りた。練習ではなかなか着氷できなかった3回転ループも、本番では後半できっちり成功。安定感が際立った。「拍手が鳴りやまないのを聞いて、本当にたくさんの人に支えてもらってたんだなと感じた」。全身で「愛」を感じた。

 「愛の讃歌」。坂本が13歳の時、憧れの先輩である鈴木明子さんが現役最後のシーズンに演じた曲だ。「ステップの時の表情とか動きに愛があふれすぎていた。最後にこれを持ってくるのがすてきだなと感じて、自分もやりたいなと思った」。坂本も、自身のスケート人生の締めくくりにこの曲を選んだ。

 「この曲をやりたい」と、中野コーチに伝えた時には「まだ人生経験が足りない」と一度は却下された。しかし引退を決めていた坂本は「早いけど、今やらないといつやるん!」と強行突破。本来は恋人への愛を表現する曲だが「スケートの経験はたくさん積んできた」。壮大なメロディーに21年間の全てを費やしたスケートへの大きな愛を乗せた。

 何をするにも三日坊主だった坂本にとって、フィギュアスケートは一番の宝物だった。「スケートだけは休みたい時も毎日怒られながら、泣きながら続けた。たくさんの経験をさせてもらった」と笑顔。「人生虹色だな」と喜怒哀楽の詰まったスケート人生を振り返った。

 フィギュアスケート日本女子では初の3大会連続五輪。「ひそかに目標にしていた。有言実行ではなく不言実行。団体、個人ともに金を目指す」。いざ、ミラノへ。最高の景色を見る。

 ◆坂本 花織(さかもと・かおり)2000年4月9日、神戸市出身。4歳でフィギュアスケートを始めた。神戸野田高を経て、神戸学院大経営学部卒。16年全日本ジュニア選手権で初優勝し、17年世界ジュニア選手権は銅メダル。全日本選手権は18年に初優勝し、21年から5連覇を達成。五輪は18年平昌6位、22年北京は銅メダル、団体は銀。GPファイナルは23年に優勝。世界選手権は22年から3連覇し、25年は2位。159センチ。

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