五輪切符は誰の手に Vなら即内定の全日本フィギュア展望 し烈な女子は?坂本花織がV最有力
フィギュアスケートのミラノ・コルティナ五輪の代表最終選考会を兼ねた全日本選手権が19日から21日まで東京・国立代々木競技場で行われる。男女各3人、ペア2組、アイスダンス1組の代表が決定。熾烈(しれつ)をきわめる代表争いを、フィギュアスケート担当の南香穂記者が展望する。
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五輪切符は誰の手に渡るのか-。優勝すればミラノ行き即内定の全日本選手権。女子の代表争いは熾烈(しれつ)な争いとなる。
優勝候補は多い。最有力は、今季限りでの引退を表明している坂本花織(シスメックス)だ。2022年北京五輪で銅メダルを獲得し、世界選手権は22年から3連覇を果たした経験豊富な実力者。今季は、開幕は出遅れたものの徐々に調子を上げてきた。
代表選考で日本勢上位2人が有利となるGPファイナルでは、SP5位からフリーで意地を見せてトップ。日本勢2番手の3位に滑り込んだ。5年連続6度目の頂点がかかる全日本へ「(五輪に)一発内定でいけるように」と語っていた。これまでの結果を鑑みても、ミラノ行きもほぼ当確だろう。
シニア1年目の17歳、急上昇中の新星・中井亜美(TOKIOインカラミ)も存在感を示す。10月のGPシリーズ開幕戦・フランス大会で初出場優勝。完成度の高い演技で結果を残し、インパクトを残してきた。武器のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)が確実に決まれば上位は固い。
「夢から目標に変わってきている」という初の五輪も手の届くところまできている。「きっとプレッシャーに変わってしまうこともある」とは言うが「自分の今できるベストを」と持ち味でもある落ち着きを持って、初のシニアでの全日本に臨む。
好調をキープしていたが、GPファイナルで5位に落ち込んだ千葉百音(木下グループ)は、確実に優勝を狙いにいく。ただ、GPシリーズ2戦とも優勝しているため、五輪に向けては大きなアドバンテージがある。優勝を逃しても、代表に入れる可能性は高い。
シニア選手に挑戦状をたたきつけるジュニアの島田麻央(木下グループ)も優勝候補のひとり。年齢制限でミラノ五輪へ出場はできないが、フリーにはトリプルアクセルと4回転トーループを入れる構想を練っている。大技2本が成功すれば、シニア選手を抑えてトップに立つ可能性は限りなく高くなるだろう。
フリーにトリプルアクセル2本を投入予定の渡辺倫果(三和建装・法大)や、今季での引退を決めている樋口新葉(ノエビア)も注目。大舞台に立つ権利を求め、リンクへ飛び出す。
◆フィギュアスケートのミラノ・コルティナ五輪代表選考 各3枠の男子と女子は全日本選手権の優勝者が自動的に代表入り。2人目は全日本2、3位やGPファイナルの日本勢上位2人(男子は鍵山と佐藤、女子は中井と坂本)、全日本終了時点で国際スケート連盟(ISU)公認のシーズン最高得点の上位3人から選ぶ。3人目は全日本終了時の世界ランキングや日本スケート連盟独自の国際大会ポイント上位3人などを選考対象に加える。2枠のペアと五輪団体要員1組のアイスダンスは全日本1、2位と全日本終了時の世界ランキング、シーズン最高得点の最上位から総合的な判断で選出する。



