大の里が横綱初V 昇進後2場所目 16年ぶり横綱同士の決定戦制す!本割完敗で「吹っ切れた」 単独年間最多勝も確定

 優勝決定戦を制し、ほっとしたように両手を広げる大の里
 優勝決定戦で豊昇龍(左)を寄り倒しで破る大の里(撮影・戸田泰雅)
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 「大相撲秋場所・千秋楽」(28日、両国国技館)

 大の里が横綱同士で16年ぶりとなる優勝決定戦を制し、昇進後初優勝を飾った。本割では豊昇龍に押し出されるも、決定戦は寄り倒して、2場所ぶり5度目の優勝を果たした。日本出身力士の年間3度優勝は1997年の横綱貴乃花以来となった。先場所の悔しさを糧に、故郷石川県が生んだ横綱輪島と同じ、昇進2場所目での賜杯。「東西横綱が引っ張って9月場所は盛り上がったんじゃないか」と胸を張った。

 万雷の拍手と歓声が注がれる。大の里は土俵を下りると「よしっ」と唇を動かした。横綱初優勝。2009年秋場所で朝青龍が白鵬を下して以来、16年ぶりとなる横綱同士の優勝決定戦を制した。

 優勝インタビューで「先場所苦しい経験をして、あの経験は二度としたくないと稽古に励んで、2場所目で優勝できてうれしい。(先場所は)味わったことのない経験だった」と打ち明けた。支度部屋では「2場所目は輪島さんと同じで意識していた。並ぶことができて良かった」と、石川の先輩横綱の名前を口にした。

 本割は豊昇龍のもろ手突きで崩れ、あっけなく押し出された。前日、師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)から「淡々といけ」と助言を受けたが「意識してしまった」と反省。「これ以上マイナスはない。逆に吹っ切れた」と立て直した。

 優勝決定戦では、立ち合いで左上手を許した。下がって回り込みながら、一気に勝負を決めに来た豊昇龍の上手投げ。こらえて体を預けながら寄り倒した。物言いがつくも軍配通り。ドラマチックな優勝劇に「東西横綱が引っ張って盛り上がったんじゃないか」とうなずいた。

 場所前まで通算2勝6敗(不戦勝1)で、横綱昇進時に「超えなければいけない相手」と語った豊昇龍にリベンジ。大の里は「最後勝ち切れてよかった」と胸を張った。八角理事長(元横綱北勝海)からは「お互いに勝機はあった。短い中で、横綱同士の技術と気迫が見られた。これが横綱。よく頑張っている」と称賛された。

 名古屋場所は11勝に終わり、金星4つを配給。稀勢の里、その師匠の隆の里から続く3代連続の新横綱場所優勝は夢に終わった。「ああいう形になって情けない。悔しかった」と述懐する。

 夏巡業が転機だった。石川、青森、新潟とゆかりのある地を巡った。大の里は「縁のある場所で声援と力をいただいた」と話す。家族、友人、恩師たちと顔を合わせ、地道な基礎運動で汗を流し、黙々と己を磨いた。安易に引く悪癖が影を潜め、持ち味の馬力とスピードを発揮した。

 九州場所を残して、60勝で単独の年間最多勝が決まっている。ただ、5回の優勝のうち4度が東京場所。「地方が良くないので、九州が大事」と誓った。課題を克服する度に“令和の大横綱”へ成長していく。

 【大の里アラカルト】

 ★本名 中村泰輝(なかむら・だいき)

 ★生年月日 2000年6月7日

 ★出身地 石川県河北郡津幡町

 ★相撲歴 津幡小1年から津幡少年相撲教室で始める。新潟・能生中に相撲留学し、中3時に白鵬杯優勝。新潟・海洋高では1年時に高校総体個人2位。日体大では1年時の学生横綱、3、4年時のアマチュア横綱など個人タイトル14冠

 ★初土俵 2023年夏場所

 ★しこ名の由来 大正末期から昭和初期に活躍した小兵の名大関「大ノ里」から

 ★目標の力士 師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)、大ノ里

 ★得意 突き、押し、右四つ

 ★好きな食べ物 魚なら何でも

 ★嫌いな食べ物 パプリカ

 ★趣味 スポーツ観戦(高校野球好き、阪神ファン)

 ★ニックネーム ダイキ

 ★サイズ 身長192センチ、体重191キロ

 ★家族 父・知幸さん、母・朋子さん、妹

 ★好きな言葉 「信は力なり」=ドラマ「スクール☆ウォーズ」の滝沢賢治先生が座右の銘としている言葉。

 ★好きな色 緑

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