得意とする中盤の伸びがなかったサニブラウン選手 朝原宣治氏の分析
「陸上・世界選手権・男子100メートル予選」(13日、国立競技場)
日本からは3人が出場し、桐生祥秀(日本生命)は10秒28、サニブラウン・ハキーム(東レ)と守祐陽(大東大)はともに10秒37で、いずれも予選落ちした。日本勢が準決勝に進めなかったのは、2015年北京大会以来。2008年北京五輪男子400メートルリレー銀メダリストの朝原宣治氏が分析した。
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サニブラウン選手はシーズン通じて、全然走れていない状態から世界選手権に合わせて取り戻そうとしていたと思う。ただ、間に合わなかったというか、完治していないというか、いつもの走りからはほど遠かった。力が出せていなかった。
どこかが痛いのか、もしかしたら治りたてで、そこまで追い込む練習ができていないのか。スタートから置いていかれたし、得意とする中盤の伸びがなかった。万全ではないのは明らかだった。
桐生選手は出遅れず、いいように見えたが、実力が伴っていなかった。一番準決勝に近いのは桐生選手だと思っていただけに、残念だった。守選手は、はまらないとスピードが出ない。スタートで出遅れたため、完全に自分を見失った。
今回敗退はしたものの、これまで高かった決勝の壁をぶち破ったのがサニブラウン選手。世界と戦うために普段から世界のトップ選手と一緒に過ごして、欧州の最高峰の大会などに出たりして武者修行をしている。日本選手は今後に向けて、そういうレース勘とかタフさを身につけないといけないだろう。
いきなり国内のリラックスした中で、条件のいいところで走ったタイムと、こういう大舞台で世界の選手たちと一緒に走るタイムはちょっと違う。その辺りはずっと前から言われていること。守選手とかは学生で、これから力を付けていく中で、日本の条件のいいところばかりで試合をするのではなく、切磋琢磨しながら強さも身につけていってもらいたい。
400メートルリレーに向けては、3走を桐生選手に固定し、アンカーは鵜沢選手でいくとして、柳田選手はここにきて今シーズン1番強かった。ここで実力を発揮してもらいたい。1走をだれにするかだが、柳田選手も面白い。柳田選手を軸にして組むのではないだろうか。




