桐生祥秀が涙の復活V 大声援に絶句「自分勝手かもしれないが会場が自分のために…」 男子100Mで5年ぶり3度目日本一「初めて喜んで涙を流せた」
「陸上・日本選手権」(5日、国立競技場)
世界選手権東京大会(9月、国立競技場)の代表選考を兼ね、男子100メートル決勝が行われた。パリ五輪代表の桐生祥秀(29)=日本生命=が10秒23で復活優勝。2020年大会以来5年ぶり3度目の日本一に輝いた。参加標準記録(10秒00)は満たせなかった。
優勝直後のインタビューでは「久々に勝てたのはうれしい。まだ世界陸上のタイムを全然切っていないので、きょうから練習して明日から練習したい」と目に涙を浮かべて話した。
ゴール直後は優勝を確信して右手ひとさし指を突き上げた。その時の気持ちを問われると「久々でしたし。本当に、なんだろう。自分勝手かもしれないが会場が自分のために喜んでくれた…」と話すと「すいません」と手で口を押さえて絶句。スタンドから大きな握手が送られた。
その後の取材では「うれしい、悔しい思いが続いていたので、一段とやっていてよかったと思った。これまでカメラの前で泣いていたのは、五輪もそうだが悔し涙しか流せなかった。中学から陸上を始めて、初めて喜んで涙を流せた」と振り返った。
今季は5月の織田記念で、いきなり昨季の最速タイム(10秒20)を上回る10秒15をマーク。静岡国際では、国内グランプリ大会3年ぶりの優勝を果たした。同月のセイコーゴールデングランプリでは、10秒16の快走。「スタートで前に出ることができれば、タイムも変わってくる」などと話し、復調の気配を漂わせていた。
今大会、4日の準決勝は、10秒21で2組2位通過。17年に記録した自己ベストタイム9秒98の更新と、世界切符を見据え「いい感覚で走れている。10秒1~2台ではお客さんも満足しない。しっかり決勝の舞台で走りたい」と意気込んでいた。




