大の里「また明日につなげられる」綱とりへ連勝 高安に恩返し本割初星 「忘れられない」励ましの言葉

 高安(右)をはたき込みで下した大の里(撮影・佐藤厚)
 高安(右)をはたき込みで下した大の里=両国国技館(撮影・佐藤厚)
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 「大相撲夏場所・2日目」(12日、両国国技館)

 初の綱とりに挑む大関大の里は、元大関の小結高安をはたき込んで2連勝とした。本割では3度目の対戦で初勝利を挙げた。優勝した3月の春場所では、優勝決定戦を争うなど思い入れのある相手を下し、大願成就へ連勝スタート。横綱豊昇龍も若元春を寄り倒して2連勝。大関琴桜は阿炎を引き落とし、初日を出した。

 悪癖と指摘される引く相撲だったが、この日は俵まで余裕があった。大の里は立ち合いで一歩押し込み、右が差せないとみるや、引きながら首根っこを押さえつけるようにしてはたき込んだ。

 「立ち合いが良かったので、また明日につなげられる。相手の動きが見えていたと思うので、また明日は集中したい」

 相撲内容を前向きに評価した大の里。高安には春場所の本割で敗れ、一時は単独トップを許したが、その後に高安が敗れたことで並走。千秋楽の優勝決定戦を制し、今場所の綱とりにつなげた。

 本割では3度目の対戦で初勝利。「まあ良かったと思う」と語り、春場所のことは「集中して先場所のことより、今日の一番に集中した」と表情を変えなかった。

 初日の若元春に続き、左四つが得意な相手との差し手争いが、勝負のポイントだった。八角理事長(元横綱北勝海)は「当たり勝っているから引くんだよね。右を差せないと、すぐ頭の後ろに手がいく」と評するが、綱とりのカギと自ら言及した前半戦の連勝は大きい。

 師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)は午前に「いい入りだと思いますよ」と初日の若元春戦を評価し、高安戦について「苦手はつくらないことが一番。若元春にああいう勝ち方ができたんだから、体は動いている。今日(の相撲次第で)、流れがいい、悪いというのが出てくる」と評していたが、好発進と言えそうだ。

 高安は師匠の弟弟子。大の里にとっては“叔父”と捉えることもできる。

 昨年4月、大の里は日本相撲協会から未成年力士との飲酒を巡り、厳重注意処分を受けた。程なく行われた千葉県木更津市での春巡業。不安を感じる中、稽古では高安から胸を出された。直後のトークショーでは、期待の若手に自身を挙げられ「最近いろいろあるみたいですけど、相撲で一生懸命頑張ると思うので、応援お願いします」とフォローされた。当時は「うれしかったし、忘れられない言葉」と感激した。

 角界では世話になった力士に勝つことを恩返しという。3日目に向け「また集中していきます」という言葉には、さまざまな思いが去来したのだろう。

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