阿部一二三 やっぱり「柔道が好き」 2回戦敗退も表情晴れ晴れ 体重差約50キロの相手と真っ向勝負

 鈴木太陽に一本負けし悔しがる阿部一二三
 2回戦で懸命に技をかける阿部一二三(右)=撮影・吉澤敬太
 声援を送る阿部詩
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 「柔道・全日本選手権」(29日、日本武道館)

 体重無差別で争い、パリ五輪66キロ級で2連覇の阿部一二三(27)=パーク24=は、初戦で佐藤佑治郎(山形県警)に一本勝ちしたが、2回戦で鈴木太陽(日本製鉄)に一本負けした。東京五輪100キロ級王者のウルフ・アロン(29)=パーク24=は3回戦で、パリ五輪60キロ級3位の永山竜樹(パーク24)は1回戦で、それぞれ敗れた。決勝は28歳の香川大吾(ALSOK)が原沢久喜(長府工産)に優勢勝ちし、初優勝した。今大会から立ち姿勢で組んだ状態では、帯から下を攻める「脚取り」が反則ではなくなった。

 大内返しを食らい天井を見つめたが、畳をポンとたたきすぐに起き上がった。阿部は「全日本に初めて挑んで、すごくいい経験になった。軽量級でも重量級と戦えるということは見せられた。悔いはない」。2回戦敗退となったが、攻める柔道を貫き、軽量級でも真っ向勝負ができることを証明した。

 初戦は2階級上の81キロの相手に挑んだ。序盤から激しく攻め立て、1分23秒、鮮やかな背負い投げで一本勝ち。2回戦は約50キロも体重差がある120キロの巨体に食らいついた。開始直後から果敢に組み合う攻防で、中盤には今大会から解禁された脚取りで相手を崩す。最後は畳にたたきつけられたが「攻める姿勢で試合ができた。挑戦者の気持ちは大切だと気づいた」と、晴れ晴れした表情で振り返った。

 これまで推薦での出場チャンスはあったが、五輪3連覇を掲げる上ではケガのリスクを考慮し、なかなか踏み出せなかった憧れの舞台。2028年ロサンゼルス五輪まで3年と時間がある今「歴史のある大会に立ちたかった」と出場を決断。日本武道館の畳で戦い「幸せ。やっぱり柔道が好き。僕には柔道しかない」と充実感をかみしめた。

 今後は戦いの舞台を自身の階級に戻し、世界選手権(6月、ブダペスト)に照準を合わせていく。個人3連覇に加えて、団体戦のリベンジも狙うロサンゼルス五輪へ「組み手もしっかり重量級相手でもできていた。自信になった。五輪の借りは、五輪でしか返せない。しっかり自分が全力を出せるように準備しようと思っている」と宣言。伝統の舞台に立ち、無差別で戦った経験を今後の柔道人生の糧とする。

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