引退発表の丸山城志郎 鬼気迫る柔道人生が生み出した歴史的名勝負 24分間の死闘は金メダル以上に輝いていた

 柔道男子66キロ級で世界選手権を2度制した丸山城志郎(31)=ミキハウス=が17日、現役引退を発表した。所属を通じ「2月17日をもって柔道選手を引退することを決意しました。これまでたくさんの応援を本当にありがとうございました」と報告。同階級で五輪2連覇の阿部一二三(27)=パーク24=とライバル関係にあり、2020年12月に行われた東京五輪代表決定戦では24分間に及ぶ歴史的死闘を演じたが敗れ、五輪出場はかなわなかった。25日に大阪府八尾市で引退会見を行う。

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 もったいない-。それが丸山の引退を聞いた率直な思いだ。代名詞の内股は、畳に着いた軸足の右脚と、相手をはね上げる左脚がまるで一直線に見えるほど美しく、見ている者をほれぼれさせた。天理大の穴井隆将監督をして「カミソリ」と言わしめる切れ味を誇り、海外でもファンが多い。今でも世界トップ級の強さを持つことに疑いがないが、今夏32歳になる丸山にとって、3年後へ三たび心身を奮い立たせる過酷さは想像を絶する。

 五輪メダリストの柔道関係者を取材していた際、金メダルを獲得する要件について「運ですよ」と虚をつかれたことがある。「いくら強くても五輪は1階級1人しか出られない。丸山ほど強くても五輪に出られないことには金メダルは取れない」。勝負の世界に“たられば”は禁忌。それでも、もし丸山が五輪に出ていたら、金メダリストとしての人生が待っていただろう。世界に誇る2人のライバル関係は幸運であり、悲運でもあった。

 余談だが、朝日放送の人気番組「相席食堂」で、千鳥ノブが「阿部一二三選手の決定戦みたい」と技の応酬による激闘の例えツッコミに使うほど、24分間の死闘は誰もが知る一戦となった。丸山の鬼気迫る柔道人生が生み出した歴史的名勝負は、ともすれば五輪の金メダル以上に輝きを放っていたと個人的にたたえたい。2人の代表争いを取材できたのは、担当記者として僥倖(ぎょうこう)だった。(デイリースポーツ・藤川資野)

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